通話については、中堅中小企業での外線通話と電話会議を可能にする「Microsoft 365 Business Voice」を日本でも4月1日から提供開始する。
以上のような機能追加に加えて、今回、ハードウェアに関しても発表があった。産業用ヘッドマウント型デバイス「RealWear」との連携により、たとえば、工場内の配線工事を担当する作業者が同デバイスを搭載したヘルメットを被ることで、情報にハンズフリーでアクセスするとともに、離れた場所にいる専門家から指示を仰ぐとことが可能となる。

Teams認定「コラボレーションバー」としてYealinkの「VC210」が発表されている。コラボレーションバーはスピーカー、マイク、カメラ、Teamsアプリを一体化したもので、ディスプレイに取り付けることでTeams会議専用端末にする。
音響機器メーカーBoseもTeams認定ヘッドフォン「Noise Cancelling Headphones 700 UC」の発売を予定している。
このようにハードウェアのエコシステムを拡大することで、会議だけではなく、さまざまな利用シーンにTeamsが対応できるようにしていると山崎氏は述べる。
ビデオ会議で「ホームルーム」
Teamsが利用されている事例として、大阪市は、4月に予定されている新職員520人ほどに対し、集合研修が実施できない状況というケースを想定。研修をTeamsで録画し、ビデオストリーミングサービス「Microsoft Stream」で配信することに取り組んでいる。
NTTコミュニケーションズでは、かねてより50人の“Teamsファン”を中心にユーザーを拡大しており、Teamsを使ったコミュニケーションが可能になっていた。そのため、在宅勤務を基本とした業務を2月に全社規模で開始した際には、円滑に移行できたという。
日本マイクロソフトは、教育機関へ支援もしており、新型コロナウイルスによる臨時休校対策として「卒業式ライブ配信」と「遠隔授業」を実施している。
立命館小学校や大阪市立小路小学校での卒業式ライブ配信では、Teamsのライブイベント機能が活用された。式に参加できなかった保護者は、ログインなしでURLからワンクリックで参加が可能で、PC、スマートフォン、タブレットと環境を問わず視聴できることから好評だったという。壇上に設置したカメラから、保護者席からは見ることができない卒業証書を受け取る生徒の様子も配信することができたと山崎氏は述べる。
千葉大学教育学部附属小学校は、同社のクラウドサービスを利用して先進的な授業にこれまでも取り組んでいたが、今回の休校のタイミングで遠隔授業を実施。休校前日にTeamsアカウントを急遽配布して使い方を説明。翌日からTeamsの課題機能で宿題の配布や提出をしたり、ビデオ会議機能で「ホームルーム」をしたりしている。休校になっても先生と生徒がつながりを保つところでもTeamsが利用されていることを山崎氏は強調した。
3周年を迎えたTeamsの現状
登場から3周年を迎えたTeamsだが、3月に入ってグローバルで1日あたりのアクティブユーザーが4400万人となったことが発表されている(2019年11月の時点では2000万人)。特に発表の直近1週間で1200万人増加しているが、新型コロナウイルスの流行が背景にあることが考えられることから、山崎氏は「手放しでは喜べない」としつつも、「Teamsが各国で顧客の困難な状況を支援するという形で役立っていることはうれしく思っている」と述べる。
現在、53言語をサポートし、Fortune 100企業のうち93社で採用。1万人以上のユーザーがいる法人は650社を超えるという。提供されている国と地域は181となっている。
山崎氏は、ユーザー企業がTeamsを使って「ビジネスがグローバル化していくなかで、日本だけでなく、海外の顧客との接点も増やしている。また、このような状況下、海外にいる従業員と頻繁にやりとりすることで、従業員のケアをするというところでも使われているのはありがたいことだ」と述べ、「特にこの1~2カ月にユーザー数が伸びているのはうれしく思っている」と続けた。
