“データ仮想化”基盤「Denodo」に見るデータ分析にまつわる課題のややこしさ - (page 2)

阿久津良和

2020-03-27 06:30

 データカタログも必要に応じてドラッグ&ドロップで統合可能。たとえばマスター、コールセンター、ウェブと複数チャネルの顧客情報が異なるデータベースやDWHに格納している場合でも、Denodo Platform 7.0上でドラッグ&ドロップすることで統合したデータを参照できる。

 ユーザー部門は「クレームの起因となった注文は」といった自然言語やプロジェクト番号など任意の方法でデータを検索できるため、「ユーザー部門はデータを探す、確認する作業に時間を費やしており、某保険会社は社内からデータを集めるのに7割の時間を要している」(中山氏)といった場面にも効果的だ。

 データ参照方法はツールやウェブ以外にも、数ステップで作成できるAPIも用意する。また、部門に応じて参照可能なデータに制限を設けたい場合も、エンドユーザーに応じたデータマスキングに対応するため、データソースの管理が不要になる。なお、現行版ではマスキングデータは「null」と表示されるが、次期版では任意の文字列に置換可能になる予定だ。

 Denodo Platform 7.0はWindowsやLinux、UNIX、Javaに限らず、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureといった主なパブリッククラウドをサポートする。中山氏の説明によれば、「顧客の7割はクラウドを利用している」という。

 独立系ソフトウェアベンダーの製品との統合やライセンス販売形式を採用し、「データソース数やクライアント数でプライスは変わらない。CPUコアで課金する仕組み」(中山氏)だ。なお、同社は最小ハードウェア構成としてIntel Xeonクアッドコア以上、16GB以上のメモリー、5GB以上のストレージを推奨している。

 当然ながらハードウェア構成やデータソース量によって増加するが、同社は「トランザクションの統計情報を分析し、クエリに応じて適切なデータを提供するエンジンを統合している」(中山氏)とパフォーマンス面の競合優位性を強調した。

 グローバルでは800社以上、日本ではKDDIや三井住友信託銀行、大日本印刷をはじめとする10社強がDenodo Platformを利用している。某大手製造業は製品の開発に時間を要しており、データ検索や検証にワークロードの3~4割を消費していたが、Denodo Platformを活用することでタイムトゥマーケットの改善を目標の6割から9割まで向上。某大手金融サービス企業はコピーデータ用のストレージコスト削減3割を目標にしていたが、Denodo Platformで5割強の削減に成功したと説明する。

 Logitech(国内ではロジクール)もシステム基盤のクラウドシフトに伴い、オンプレミス側に残ったデータとクラウド上のデータをDenodo Platformで統合することで、従来と変わらず業務環境を実現していると説明。日本法人には「金融系企業から横軸でデータを分析するデジタルトランスフォーメーション系部門からの問い合わせが増加」(中山氏)という。

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