伊藤忠商事は、SAP HANAおよび分析ツールのSAP BusinessObjectsを使ってビジネスデータの分析を支援する次世代全社統合データ基盤を構築した。2018年5月から稼働しており、全社規模の活用を通じて分析業務の高度化・効率化を実現している。システムの導入には、SAPソリューションを最大限に活用するためのSAPのサポートサービス「Premium Engagements」を利用した。
業務への効果として、機械カンパニーでは、ある業務の損益月次分析において、4時間を要していたレポート作成時間が20分に短縮され、年間100時間以上の業務削減が実現している。また、手作業でのデータの結合や集計が不要になり、作業ミスのリスクも大幅に軽減された。
同社は、次世代の要件に対応するため基幹システムをSAP S/4HANAに移行し、2018年5月に本稼動を開始している。基幹システムと並行して、次世代全社統合データ基盤(データレイク)を構築、プラットフォームにはSAP S/4HANAとの親和性が高く、数千件規模のトランザクションデータでも高速応答を特徴とするSAP HANAを採用した。
さらに、蓄積したデータからユーザーが集計、分析をするためにSAP BusinessObjectsを導入。同基盤では、新基幹システムの会計データに加えて、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の8つのカンパニーの営業取引に関わる全てのデータ、物流、人事総務のデータを集約している。
稼動後は、全社規模でデータ活用を促進し、現在は約1900人が同基盤を利用している。活用支援には、専門組織である「Business Intelligence Competency Center(BICC)」を立ち上げ、分析業務の効率化を徹底しているという。