三菱地所、廃棄物の収集運搬をAI や量子コンピューターで最適化

NO BUDGET

2020-03-31 14:01

 三菱地所とグルーヴノーツは、人工知能(AI)やアニーリング方式の量子コンピューターを搭載するクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を活用し、東京・丸の内エリアで廃棄物を効率的に収集・運搬するルートを導き出す「廃棄物収集ルート最適化」を検証した。こうしたルート最適化検証は日本初という。

1日当たりの廃棄物収集作業に関わるコストの比較結果
1日当たりの廃棄物収集作業に関わるコストの比較結果

 その結果、約94%の高い精度でごみ発生量を予測し、その結果に基づき、膨大な組み合わせの中から最適なルートを瞬時に求めることができた。現状の総走行距離約2300キロに対して約1000キロでごみを収集する最適ルートが導き出され、これにより、CO2の排出量は約57%、車両台数は約59%それぞれ削減される効果が試算された。

複数のビルで廃棄物収集を行う際の検討事項イメージ
複数のビルで廃棄物収集を行う際の検討事項イメージ

 今回の検証ではその方法として、可視化(検証に必要なデータの収集)、予測(「MAGELLAN BLOCKS」のAIでごみの発生量を予測)、最適化(「MAGELLAN BLOCKS」の量子コンピューターで最適な収集ルートを検証)――の3つに分けて実施された。

 収集・可視化したデータには、過去3年間のビル26棟別の入居企業数/在勤者数、飲食や物販といったテナントタイプとその割合、可燃ごみや不燃ごみ、ビン・缶、ペットボトル、生ごみ、古紙など14種類の廃棄物に関する発生量、廃棄物処理事業者が保有する廃棄物の14種類別の運搬車両の仕様などがある。

 予測では、「MAGELLAN BLOCKS」が提供する気温・湿度・降水量などの気象データ、地区イベント情報など、予測に影響する要因となるデータ(予測因子)をもとに、ビル/廃棄物種類ごとのごみ発生量をAIで予測するモデルを構築・評価し、実際に数カ月後のごみ発生量をシミュレーションした。

 最適化では、さまざまな制約条件を考慮して、廃棄物が発生する全てのビルを経由して確実にごみを回収するとともに、車両台数が最も少なく、かつ移動距離が最短となるルートの組み合わせを、量子アニーリングを活用してシミュレーションした。

 グルーヴノーツと三菱地所は、「廃棄物収集ルート最適化」今回の検証から生まれたデータをもとに、具体的な運用に向けたPoV(Proof of Value:導入前検証)を行っている。さらに、ビルごとに異なるさまざまな廃棄物処理業者との共創を図ることで、収集業務の効率化による長時間労働の削減や人手不足の解消にも貢献していく。

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