本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- コロナショックで日本株を売ったのは誰か?
- 先週の急反発で日本株を買ったのは誰か?
- 日本株の投資判断
これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
コロナショックで日本株を売ったのは誰か?
日経平均株価の激しい値動きが続いている。2月25日~3月19日まで、日経平均はわずか4週間で6834円(29%)下がる「暴落」となった。ところが先週3月23~27日には1週間で2836円(17%)の急反発となった。今週は1万9000円をはさんで神経質な動きが続いている。
日経平均日足:2020年1月4日~3月30日

これほどまで大慌てで日本株を売ったり買ったりしているのは誰だろうか? 答えは外国人投資家である。
まず2月25日~3月19日までの暴落局面での売買手口を見てみよう。
急落局面での投資主体別売買動向:2020年2月25日~3月19日

出所:東京証券取引所「主体別売買動向(売買差額)2市場1・2部」から作成、日本銀行の買越額は日本銀行から。日銀は日本株ETFを購入しているが、株式を直接買い付けてはいない。日銀が購入するETFを組成するための日本株注文が出る
ご覧いただくと分かる通り、日経平均を暴落させたのは外国人投資家だ。外国人の売りはここに出ているだけではない。ここには株式現物の売りだけが出ている。外国人は日経平均先物も1兆円超を売り越している。
一方、国内投資家はこの暴落局面で大量に買い越している。最大の買い手は個人投資家で、1兆円を超える買い越しとなっている。日本銀行も同じく1兆円以上を買っている。事業法人は「自社株買い」で近年安定的な買い越し主体となっているが、この暴落局面でも5922億円も買い付けている。
信託銀行(信託勘定)も買い越し。信託勘定を通じて売買しているのは年金基金である。特に公的年金の影響力が大きくなった。この暴落局面でリバランスの買い(※注)を出していたと考えられる。
3月末に決算期末を控え、公的年金は基準ポートフォリオから大きく乖離(かいり)した組入比率を基準に近づけるリバランスを実行する必要があるはずである。そのための日本株買いが3月末受渡ベースの最終売買日(3月27日)に向けて出ていたと推測される。
この売買主体を見て思い出すのは、2008年9月のリーマンショック直後の暴落だ。日経平均が暴落する中で巨額の売りを出したのは外国人で、それに巨額の買いで立ち向かったのは個人投資家と信託銀行(年金基金)だった。
当時は日銀の買いがなく、事業法人による自社株買いもまだあまり大きくなかった。ただし、「外国人が売って、個人と年金が買う」という構図は当時と今も全く同じである。