セカンダリーストレージを展開するCohesity Japanは4月1日、エンタープライズエッジ向けにエンタープライズクラスの機能を拡張・強化する新しいリモートオフィス/ブランチオフィス(ROBO)ソリューションの国内展開を発表した。同社のソフトウェアと、Cisco SystemsおよびHewlett Packard Enterprise(HPE)の認定サーバーを組み合わせたアプライアンス製品で、4月末までにCiscoおよびHPEから提供が開始される予定。想定ユーザーは中小規模ではなく、多数の分散拠点を展開する大企業で、具体例として商業銀行、小売店、チェーンレストラン、レンタカー会社、倉庫・物流、医薬品、グローバルITサービスなどが挙げられている。
同社 営業本部 シニアSEマネージャーの東一欣氏は、今後エッジでのデータ爆発が予測される一方、ROBO環境にITスタッフが配置されている割合は20%にとどまると予測。エッジのデータのバックアップを含む、分散環境におけるデータ管理の課題に対する解決策が求められているとした。
同社の中核製品となる「Cohesity DataPlatform」はさまざまな環境で動作しつつ、異なる環境に分散されたデータを一元管理できる点を強みとする。これまで提供されていた、オンプレミス環境向けのハードウェアアプライアンス、仮想化プラットフォーム上で稼働する「DataPlatform Virtual Edition」、主要パブリッククラウド上のサービスとして提供される「DataPlatform for Cloud」と統合管理ツール「Cohesity Helios」に加え、今回新たにROBO/IoT Edge向けソリューションとして「DataPlatform for Edge」が追加される形になる。
従来はROBO環境向けは主に仮想アプライアンスのVirtual Editionがカバーしていたが、稼働環境として仮想化インフラが整備されている必要があるなど、IT担当者がいないROBO環境での運用は必ずしも簡単とは言えなかった。また、既存のハードウェアアプライアンスとの比較では、導入規模が4TBまたは8TBと小さい上、従来は3台以上の分散クラスター構成が必要だったのが1台から導入できる(冗長化はクラウドを活用してカバーする想定)など、ROBO環境向けに導入障壁を下げた形になっている。
また、ソフトウェアライセンスの面では、基本となるDataPlatformのライセンスにバックアップ用途向けのDataProtectがバンドルされており、その点でもシンプル化が図られている。
対応ハードウェアとして認定されているのは「HPE DL360 Gen 10」または「Cisco UCS C220 M5L」で、基本的なハードウェアスペックは共通となっている。
なお、同社では今後、ソフトウェアソリューションに注力していく方針を表明しているが、以前から提供しているハードウェアアプライアンスについては今後も継続して提供していくという。同時に、今回のDataPlatform for Edgeがパートナー製ハードウェアとの組み合わせという形で提供されることは同社の「ソフトウェアにフォーカスしていく」という姿勢の反映でもある。
専任のITスタッフが管理する本社のミッションクリティカルなデータはともかく、拠点ごとに分散したデータは適切な管理が行われない“ダーク・データ”化してしまうリスクが高いが、このソリューションでは拠点ごとに分散するデータを一元管理するための統合的なデータプラットフォームを構築する上で有用だと思われる。