Dropboxでは、今回の新型コロナウイルスによる在宅作業を開始する以前から時差のあるチームとの共同作業が多く、非同期的なミーティングの代替が必要でした。このため、メールやチャットといったコミュニケーションツール、共同作業アプリ「Dropbox Paper」のようなオンラインコラボレーションツールを活用し、勤務時間がずれたメンバー同士がミーティングを実施しなくても同レベルの成果が出せるよう業務を設計しています。
一方で、ウェブ会議システム 「Zoom」を活用したバーチャル社員親睦会など、コミュニケーションを活発化させる工夫もしています。ツールを活用して時間と場所という制約から業務を解放しつつ、同僚とのコミュニケーション減少、孤独感を感じることがないような施策を両輪で展開しています。
このように、まずは時間や場所に制約のある業務に注目し、その後どのようなツール、手段を用いればそれらの制約から開放されるかを検討すると良いでしょう。
例えば、時間の制約から開放されれば時差通勤によって感染リスクのより低い時間帯を選択して通勤できるようになります。
既存ITツールの利用目的を拡大していく
既に「Dropbox Business」を利用いただいているユーザーでは、従来主な利用目的だった社外との情報共有から、社内での情報共有にまで活用するケースが増えています。
ファイルサーバーやネットワーク接続ストレージ(NAS)といった機器は利用場所に制約が生まれがちです。報告書を作成、提出するだけのために出社しなければならないという方も多くいらっしゃいます。Dropbox Businessのようなクラウドサービスへ移行することで、こういった制約から開放できる業務もあります。
クラウドサービスへの移行を躊躇されているケースを詳しくお伺いすると、セキュリティを理由の一つとして挙げる方が多くいますが、ステップを踏んで準備を進めていけば多くの懸念は払拭できます。
在宅勤務体制の長期化を想定すると、メールやチャット、クラウドストレージやオンラインコラボレーションツールなどは、セキュリティ上の懸念がなければ強力なツールとなります。もちろん、今回の新型コロナウイルスの事態が沈静化したあとも、台風などの自然災害時、2021年の東京五輪開催時の交通網混乱回避のためにも、在宅勤務体制の整備は無駄な投資とはなりません。
次回はリモートワークとセキュリティについて、どのようにステップを進めていけば良いかご紹介します。
(第3回は4月下旬にて掲載予定)

- 岡崎 隆之
- Dropbox Japan テクニカルアーキテクト
- サン・マイクロシステムズ、ACCESS、グリーを経てエンタープライズ分野からコンシューマー分野に渡る様々な分野でのエンジニアリングに従事。開発生産性や、チーム間の共同作業について様々な施策を実施し生産性向上に貢献。2015年からDropboxカスタマーサクセスチームに所属し、お客様の生産性向上に貢献している。