アドバンテストは、インメモリー型データベース基盤「SAP HANA」を導入し、半導体検査装置の品質維持に必要な「統合品質情報システム」のデータベース処理を約10分の1に短縮した。SAPジャパンが発表した。
半導体の動作をテストする装置やシステムを扱う同社では、製品設計段階での品質向上を目指し、市場での障害情報、工程内の不良情報、工場から出荷された製品の使用実績などのデータをさまざまなシステムから統合品質情報システムへ集約し、分析・活用している。
当初は汎用データベース上で毎週末に1週間分のデータをバッチで処理していたが、データ量の急増によって週末の間に処理を完了できない恐れが出てきた。これに対し、インデックスや並列処理採用といったチューニングの試行錯誤を繰り返すうちに、処理全体の複雑化やメンテナンス負荷の増大を招いたため、データベースマイグレーションの検討が急務となっていた。
アドバンテストはシステム全体を変更するのではなく、SAP HANAをバッチ処理高速化エンジンとして使用することにし、PoC(概念実証)を経て採用を決定した。2019年4月に本格稼働を開始し、バッチ処理時間は約10分の1、既存の汎用データベースとのデータ転送時間を含めても半分を大幅に下回る時間に短縮することができた。
今後同社では、SAP HANA上でのデータ活用やソースデータ加工処理の取り込みなど、別の業務への適用も検討している。