実際、大手エネルギー企業のChevronは最近、油田での作業を監視し、最適化するために、データアナリティクスを活用したクラウドベースのプラットフォームをMicrosoftとともに構築するという新たなイニシアティブを発表した。
AIはマーケティングやセールスのほか、サプライチェーン管理や製造関係といった分野で最も大きな成長を遂げそうだ。
McKinsey Global Instituteのレポート「How artificial intelligence can deliver real value to companies」(AIはいかにして企業に真の価値をもたらすのか)より
AIによって成長がもたらされるというエビデンスがあるにもかかわらず、Aurik氏はこれらの例が業界を通じて当たり前のものと言えるようになるまでの道のりはまだ遠いという点を強調した。同氏は「業界によって違いはあり、エネルギー関係や医療関係の企業ではAIの導入が増えてきている」という点を認めつつも、「しかし、それらは例外だ。古くからある多くの企業は依然としてExcelを使い続けている。ほとんどの業界(金融サービス業界や消費者向け製品業界)での導入は非常に限られたものとなっている」と続けた。
企業がAIの導入に及び腰になる一番の理由は一般的に「恐れ」となっており、「ロボットによって仕事が奪われる」というストーリーが企業の最高経営責任者(CEO)やワークフォースに二の足を踏ませているのもうなずける。しかし調査では、「完全に自動化された労働」という警鐘は不当であり、けん引力を失ってきていることが示される傾向にある。最近のあるレポートでは、自動化を導入した後でも従業員の数を増やす、あるいは維持すると答えた企業は最大87%に達している。
もう1つの懸念は定義に関する疑問だ。AIは、MLによる大量データの処理に始まり、AIの知性を用いた最先端の処理(すなわち人間のように考えるマシン)に至るまで、非常に幅広い技術をカバーしている。これは極めて広い技術分野だ。このため、最先端技術に興味を抱いている顧客の目を引きつけるために、自社の取り組みを「AI」と銘打ってインパクトを生み出したいと考えているIT企業や新興企業が数多くあることを考えた場合、AI利用の真の状況はさらにつかみにくいものとなる。
AIの導入に向けたもう1つの大きな障壁は、スキルの欠如だ。これについてはAIの導入に向けた最も大きな難関として半数以上の企業のリーダーたちが挙げている。