ある美容院のオーナーはPOSレジシステムや情報共有の課題があり、kintoneに興味を持った。とは言え、自分でシステムを構築した経験などあるわけもなく、まずはサイボウズのサポートに電話した。何時間も丁寧に対応してくれたが、1日でPOSレジアプリは完成しない。しかし、その後もサポートが対応し、2週間かけて完成させたのだ。このPOSレジアプリは、筆者の目から見ても高度な作りで驚いたほど。実は、オーナーは途中で諦めかけたのだが、サポートの人が親切すぎて逃げられなかったと笑っていたのが印象的だった。
あるガソリンスタンドの経営者は、Excelでの数値管理から脱却すべく、サイボウズのサポートセンターに電話した。初日だけで3時間近く話をして、そこから3日連続でサポートを受け、「顧客リスト」と「案件管理」アプリを完成させた。そのアプリをお試しで社員に使ってもらい、試用期限が来るのを待たずにkintoneの本格導入が決まったというケースもある。
このように、kintoneアプリはシステムの開発経験はもちろん、デジタルに詳しくなくてもがんばれば作成できる。難しく感じた場合も、サイボウズのサポートが助けてくれるので安心だ。また、導入前にサイボウズに相談したいなら、「kintone導入相談カフェ」に行くのも手だ。今はコロナウィルス対策でウェブ会議でも対応している。
kintoneをどんな風に自社で活用すればわからないなら相談してみるのもあり
キャプチャ：筆者
現場を知る人がアプリを作るので、業務にフィットしたシステムを構築できる。このメリットの大きさは計り知れない。通常、システム開発会社に発注して開発してもらうときは、新システムに必要な機能や性能を明確に伝える必要がある。この要件定義という作業はとても手間も時間もかかるが、不十分だとトラブルの元になる。できあがったシステムを見て、思っていたものと違う、となり裁判沙汰になることは多い。
現場の人間が作るのだから、自社のニーズやワークフローは誰よりもわかっている。欲しい機能や問題点も把握済みだ。開発者に伝達する伝言ゲームが入らないので、必要なシステムを漏れなく構築できるのがメリットなのだ。
簡単に作れる分、シンプルな機能しか使えないのでは？という声も聞く。たしかに、フルスクラッチで開発するのと比べれば、kintoneにできないことはある。しかし、大きな企業の業務システムとしてkintoneを導入した事例も数え切れないくらいある。
創業から100年を超える誰もが知るリゾート会社では、たった3ヶ月で海外マーケット向けの銀行振り込み決済システムを構築しなければならなかった。一般的なシステム開発会社に依頼すると、その何倍もかかってしまうことは確実。そこで、クラウドサービスを組み合わせたシステムの構築をしようと見積もりを取ったところ、開発期間も予算も大きくオーバー。最終的に、kintoneを軸としてシステムを構築し、コストも抑えつつ、予定通り3ヶ月でリリースした。
あるバス会社では、年間4万件以上もある遺失物管理に悩んでいた。紙で管理していると対応に時間がかかりすぎるからだ。そこで、kintoneを利用して「遺失物管理」アプリを作成。用意された予算の7〜8分の1のコストで完成してしまった。そこから活用が広がり、親会社である鉄道会社にもkintoneが導入され、セキュリティ情報を扱うコミュニケーションインフラとして使われることになった。
もう一つの大きなメリットが、アプリの改修も自分で行える点。自分たちで作ったのだから、気になるポイントを修正するのも簡単だ。kintoneはとりあえず作って使ってみて、気になるところを修正していくのが活用のコツ。最初から100点を目指すのではなく、70点くらいで動かし始めてしまうのだ。
ビジネスは日々変化しており、ゆっくりしているとシステムが完成する時には、必要な機能が変わっていることだってあり得る。ワークフローが変わったなら、即kintoneアプリも変えてしまえばいいだけ。タイムラグなく自分たちでPDCAを高速で回せるので、ビジネスのスピード感がアップすること請け合いだ。
どうにも自社の業務にマッチしたシステムがないなぁと悩んでいるなら、kintoneを検討してみてはいかがだろうか。
次回は、新しいITシステムを導入しても、デジタルリテラシーが低い社員にシステムを使ってもらえず、思った効果が出ないという企業課題をkintoneで解決した事例を紹介する。
