「AIの第3の波」はビジネスをどう変えるのか--エイピアのAI専門家が成功の秘訣を語る

ZDNET Japan Staff

2020-04-15 07:00

 AI(人工知能)ベンダーのAppierは4月14日、多くの企業で活用が進むAIのビジネスに与える影響や成功の秘訣(ひけつ)について明らかにした。同社でチーフAIサイエンティストを務めるMin Sun氏が自らの考えを明らかにしている。

1.AIがビジネスをどう変えるのか?

 最初のAIの波は統計をもとにしたシステムで始まった。おそらく最もよく知られている使用法は、Googleのような大手インターネット企業で使用されていた情報検索アルゴリズムだ。検索結果の順位を決めるために使っている「ページランク」が一例になる。

 2番目の波は、より多くの機械学習手法に関するもので、ロジスティック回帰(統計的手法によって推計されたモデルの一つ)や、サポートベクターマシン(教師あり学習を用いるパターン認識モデルの一つ)だった。これらは現在、銀行やデジタルマーケティングツールなどのあらゆるビジネスシーンで使用されている。

 現在、われわれが体験している3番目の波は深層学習(ディープラーニング)になる。これは視覚、聴覚、触覚などの人間の知覚システムに関連している「知覚AI」に分類さる。スマートスピーカーや人が話していることを認識するための音声認識や画像認識で使用される。例えば、次に書く内容を予測するメールプログラム、顔認識によってロック解除される携帯電話、顧客の行動を予測するデジタルマーケティングおよび広告ツールで使用されている。

 しかし、深層学習を製品に応用した場合、深層学習を適用した製品の使用状況に応じて得られる結果が異なる。例えば、スマートスピーカーは、直接マイクに向かって話せば、的確に音声を解読する。しかし、同じ部屋で他の人が話している場合など、実際によく起きる状況下で使うとそれほどの性能が出ない。同様に顔認識でも、携帯電話の画面を的確な角度で映せばユーザーの顔を認識するが、公共スペースの監視カメラは、一部の顔が部分的に隠れている大勢の人を判別するには十分な精度が出ない可能性がある。

 オブジェクト認識(画像やビデオ内の物体を識別するためのコンピュータービジョンの手法)も同様で、乗用車で使用される高度な運転支援の一環として、他の車両や歩行者を認識するのに非常に優れている。ただし、どれだけ効果的かは気象条件によって異なる。雨が降っている、曇っている、または晴れている場合、精度に影響する可能性がある。コーヒーカップ、テレビリモコン、椅子などの居住スペースの中に存在するものは、さらに認識しにくい。そのため、家の周りで私たちを支援できるロボットはまだ多くない。

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