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スマートシティーのセキュリティを考える

新型コロナが浮き彫りにするスマートシティーのリスクポイント

佐々木弘志 (マカフィー)

2020-04-27 06:00

 新型コロナウイルス感染症の拡大による被害が深刻さを増している。世界中での死者の総数は十数万人に達し、おそらく第二次世界大戦後としては、最も世界に脅威を与えた出来事として歴史に刻まれるだろう。そして、まだ全く予断を許さない状況ではあるものの、台湾のように封じ込めに成功した国が出てきている中で、今回のような事態に対応するための社会の在り方が問われ始めている。

 「ポストコロナ」とも呼ばれる新しい時代は、再度このような事態に陥った時に、人と人との接触を極力少なくしながらも、いかに経済活動を続けてダメージを最小限に抑えることができるかという、社会全体の在り方が問われることになるだろう。それは、まさに本連載の主題であるスマートシティーの在り方ともいえる。

スマートシティーの課題と新型コロナが与えた影響

 ポストコロナ時代のスマートシティーにおいては、第1回で述べたスマートシティーの目的である「経済的な発展」と「社会的な課題の解決」のうち、後者についての重要性が高まるだろう。その解決において、特に新型コロナ問題で重要性が増した課題は、「個人の自由・プライバシー」といった社会的課題と、社会インフラで進むデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きの中でも、特に「自動化・リモート化」といった技術的課題である。

 なぜ、新型コロナ問題によって、これらの課題の重要性が増したのか。その理由は、新型コロナ問題が端的にいえば、「人と人との接触を数カ月程度、極力抑える『緊急事態モード』を持つこと」という社会への新しい要請と捉えることができる。

 社会全体が、恒常的に人と人との接触を抑えることが難しいことを考えれば、社会サービスは、「平時」と「緊急時」の2つのモードを持つ部分と、「平時」から人との接触をなくす部分の2つに分かれることが予想される。

 前者の例は、「医療」「飲食店」のようなサービス業である。例えば、医療は、院内感染のリスクを減らすための遠隔診断の検討が進むだろう。後者の例は、「生活必需品を扱う店(ス―パー・コンビニ)」である。これまでは人手不足の解消目的でセルフレジなどが推進されてきたが、今後は、ポストコロナ対策として、セルフレジやAmazon Goのようなレジの無人化が進むのではないかと予想される。いずれにしても、これらの方向性に共通するのは、「自動化・リモート化」の技術的課題であり、もともとあった「人手不足解消」目的に、ポストコロナ対策という要請が加わって重要性が増しているといえる。

 また、緊急事態モードの実現についていえば、「個人の自由・プライバシー」の問題も重要な観点だ。今回、日本では「緊急事態宣言」が各都市で発令されているが、他国で行われている「都市封鎖(ロックダウン)」と比べて実効性が弱いことが指摘されている。これは、そもそもの個人の自由に対する国の考え方や緊急時の法整備の問題もあるが、加えて、監視カメラやGPSなどを用いて、どれだけ実効的に管理できるかという問題も大きい。

 特に近年のスマートシティーでは、治安目的による監視カメラの設置が進んでおり、今後は、これらを活用して犯罪・テロ対策を行うだけでなく、ロックダウン時の外出禁止の違反者を取り締まるといったことも技術的には既に可能な状態にある。例えば、韓国では、今回の新型コロナ対策の一環として、新型コロナ感染者の感染までの行動履歴を、監視カメラやスマートフォンのGPS、クレジットカード決済記録などの調査をもとにして匿名で公開している。あまりに生々しい情報のため、その結果個人が特定されて世間からの攻撃を受けるといった事態も発生しているようだ。

 もともと、スマートシティーにおいても、集められるデータのプライバシーの扱いやその他の情報とのひも付けについて議論が行われてきた。これは、主に「経済的な発展」の目的と「個人の自由・プライバシー」とのトレードオフの側面が強かったが、ポストコロナ対策として「個人の自由・プライバシー」をどこまで尊重するかという観点が加わり、議論の重要性が増すことが予想される。

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