法務部門に寄せられる相談をナレッジ化できる契約マネジメントの有効性

酒井貴徳 (Holmes) 須貝崇史 (Holmes)

2020-04-27 07:00

 前回は、一つひとつの契約プロセスを見直し、各契約書の管理、関連する契約相互の管理をどのように実践すればいいのかを解説した。

 ただ、社内の契約業務としてもう一つ重要な要素がある。それは「相談」である。

  • 「今度の取引は今までと違う取引内容になりそうだけれど、契約上のリスクはあるのだろうか」
  • 「新しいビジネススキームを敷くことになったが、どんな契約にするべきなのだろうか」
  • 「弊社の◯◯契約について、基本的にどういうスタンスをとっているのか」
  • 「契約を交わした取引先と、しばらくしてからトラブルになったが、契約上どのように対応すればよいのだろうか」
  • など、契約にまつわる相談ごとは意外と多い。

     相談する側からすれば、こういった質問は全てが“初めて”の経験だろう。一方、回答をする法務部門からすると、「こういった回答は以前、他の部署の人にもしたことがあるな」「この質問はよく聞かれることがあるな」と思うことが多々あるはずだ。また、相談する人によって内容がまちまちで、要領を得られず、必要な情報を収集するのに余計な時間や手間がかかるといったケースもある。

     このように、企業内で起こる相談業務にも、生産性向上のチャンスが転がっている。今回は、契約マネジメントの視点から、こういった相談業務をどのようにアップデートすることができるのかについて、解説していく。

    相談の内容をナレッジ化

     ホームズクラウドは契約書に限らず、相談業務についてもカバーする機能が備わっている。相談のやり取りができるだけでなく、そこから生まれた回答が全社的に展開すべきものであれば簡単にナレッジ化することができる。さらに、ナレッジは契約書や契約関連業務などに紐付けることで、いろいろな形で活用可能だ。

    ナレッジとして作成できる(出典:Holmes) ナレッジとして作成できる(出典:Holmes)
    ※クリックすると拡大画像が見られます

    相談の「窓口」を作り、双方に優しい仕組みを

     まずは相談のやり取りから見ていこう。

     ホームズクラウドには、相談の類型に応じて法務部門が欲しい情報を過不足なく取得できるよう設計できる機能がある。それが「フォーム作成、相談」機能だ。

    カテゴリを選択して相談できる(出典:Holmes) カテゴリを選択して相談できる(出典:Holmes)
    ※クリックすると拡大画像が見られます

     法務相談の種類別にカテゴリを作成し、それぞれのカテゴリについて最低限必要となる相談事項をフォームとして指定することができる。これにより、相談者は何を伝えればいいかが分かり、回答者は必要な情報を手に入れることができるようになる。両者の業務負荷を下げる優しい仕組みを作れるというわけだ。

     フォームから相談を投稿すると、その内容がそのまま反映された形で相談のやり取りをすることができる。チャット形式で会話をしながら、「回答」を逐一編集して作り上げていくイメージだ。

    契約とは直接関係のない相談窓口としても活用

     さらに、対外的な契約に限らず、社内的な法務、コンプライアンスの相談窓口としても活用できる。法務部門が日々対応する相談は幅広いが、適切なカテゴリを設定することにより窓口を一本化することが可能だ。何かしら法務部門に相談したい人は“とりあえず”ホームズクラウドにいけばいい。それが対外的な契約とは直接関係なかったり、契約関係の事後的な確認であれば相談で完結するし、相談の後に契約書が出てきたりするのであれば、そのまま契約書作成、管理機能を活用して契約書審査に進めばよい。

    展開すべき「回答」はそのままナレッジ化

     さて、一通りのやり取りが済んで法務部門としての回答が完成したら、その相談自体は「解決済み」としてクローズすることができる。

     ここで、冒頭に述べたように「この回答は他の人にもよく聞かれることだな」「全社的に展開しておきたいな」ということがあれば、回答をワンクリックでナレッジとして登録することができる。もちろん、回答文に手直しを入れた上で登録することも可能だ。

     よくあるナレッジマネジメントツールでは、一からナレッジを作成する必要があり、手間がかかる。一方、ホームズクラウドのナレッジマネジメントでは、相談に回答していけば自然とナレッジができあがる、という環境を作ることができる。

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