RPA「Automation Anywhere」、自然言語処理との連携拡充--「IQ Bot」はクラウド版提供 - (page 2)

河部恭紀 (編集部)

2020-04-27 07:40

 自動化する一連の作業において例外処理や人の判断または承認が必要な処理、さらに、複数のアプリケーションを介する際にソフトウェアボットを一度終了させて、人手での処理の後に再稼働させるケースなどがある。Interactive Formsを使うことで、処理や判断の選択肢を作成して自動化プロセスに組み込むことで、ボットを止めることなく自動化ができるようになる。

 Interactive Formsについては、コールセンターのオペレーターのように、PCで複数のアプリケーションを稼働させながらさまざまな処理をする業務での利用を見込んでいるという。

 Enterprise A2019の新機能について「これまでRPAは、人間による処理を真似て大量に処理を実行するというものだった。他社のAIサービスやクラウドサービスと連携することで、人間ではできない処理をロボットにやらせるということがかなり実現できる体制になってきたと思う」と岩名氏はまとめた。

IQ Botで使えるOCRエンジン拡充

 IQ Botは、RPA関連の光学文字認識(OCR)を組み込んだAI技術であり、紙の請求書や注文書のような半構造化データを構造化することで、RPAによる自動処理を可能にする。

 特徴としては、一般的な、AI技術を活用したOCR“AI OCR”に比べて10分の1の時間でセットアップが可能で、稼働後も“教師あり機械学習”で継続的に改善される。複数のOCRエンジンが用途に応じて選択なことで高精度の文字認識が可能。さらに、Automation Anywhere Enterpriseに備わる他のRPA機能と利用されることで、帳票の取得、分類、データ化、検証、データ入力、分析といったエンドツーエンドの自動化を可能にしている。

 これまで企業がIQ Botを利用しようとした場合、オンプレミスでの導入、自社クラウドやパブリッククラウドサービス上からの使用を検討する必要があった。4月23日にAutomation Anywhereが提供するクラウドサービスとしての利用が可能となった。これにより、利用環境の選択肢が増えるとともに、インストールなしで利用が可能となることからコストの削減や導入期間の短縮が期待される。

磯野健彦氏
磯野健彦氏

 ただし、クラウド版IQ Botの利用についは、オンプレミス版と比較して制限がある、とAAJのセールスエンジニアリング本部でシニアエンジニアを務める磯野健彦氏は述べる。利用できるOCRエンジンがABBYYのみとなる。プログラミング言語「Python」を使ったスクリプトの自動実行を各抽出項目に対して設定するカスタムロジック機能は利用できない。また、24時間あたり2万5000ページの処理に限定される。これらの制限については、将来のリリースにて解消される予定だと磯野氏は付け加えた。

 クラウド版ではデータベースはテナントごとに作成され、暗号化される。また、処理したCSVファイルを一時的に保存するために必要なフォルダも独立しており、暗号化され、ポリシーでアクセス制御される。

 クラウド側で保持される学習用ドキュメントデータは断片化、暗号化、ハッシュ化されることで、元のドキュメントに戻せないようになっている。一方、IQ Botに送信される本番用ドキュメントはクラウド側で一時的に保持されるが、CSVファイルが作成されると消去される。また、処理結果CSVファイルもクライアントへのダウンロード処理時に削除することができるようになっている。

 IQ Botに対するもう1つの機能追加としては、利用可能なOCRエンジンの増加がある。これまでABBYYに加えて、TESSARACTや「Microsoft Computer Vision」をサポートしてきたが、「Google Vision」が追加され、「Cogent Labs Tegaki」が今夏以降に予定されている。

 Cogent Labs Tegakiは日本語の手書き文字の認識に強いOCRエンジンだと磯野氏は説明。クラウドで通常は提供されているが、IQ Botとの連携にあたっては、オンプレミスでの導入も可能になるという。そのため、帳票データをインターネットに出したくない金融機関のような顧客でも導入が可能になると同氏は付け加えた。

OCRエンジンの追加

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