Linuxディストロ「Ubuntu 20.04 LTS」、フルスタックセキュリティに注力

阿久津良和

2020-04-24 06:15

 Canonical Japanは4月23日、Linuxディストリビューション「Ubuntu 20.04 LTS」のリリースを開始。コード名「Focal Fossa」として開発を続けてきたUbuntu 20.04 LTSは、最新のLinuxカーネルのほかにダークモードをサポートしたデスクトップ環境「GNOME 3.36」が含まれている。

 長期サポート版(Long Term Support:LTS)であり、サポート期間は2025年4月までだが、有償サポートの“延長セキュリティメンテナンス(Extended Security Maintenance:ESM)”を選択すれば、2030年4月まで延長可能。Ubuntu 20.04 LTSの主体は64ビット版となり、32ビット版パッケージは一部提供に限定された。

Canonical 製品担当ディレクター Stephan Fabel氏
Canonical 製品担当ディレクター Stephan Fabel氏

 4月22日に開かれたオンライン記者会見でCanonical 製品担当ディレクター Stephan Fabel(ステファン・ファベル)氏は、最新版について「注力したのはフルスタックセキュリティ。アプリケーションやオペレーション(運用)に拡大した」と説明し、IoTデバイス向けとなる「Ubuntu Core 20」はベータ1を5月4日にリリースする予定だと述べた。

 これまでのUbuntuは、大企業での運用を前提にハードウェア&クラウドやLinuxカーネル、OSの側面からセキュリティを強化してきた。「セキュリティとは各層で構成されたミルフィーユのようなもの。どこかの層に問題があれば、抜け穴となり攻撃を受けてしまう」(Fabel氏)ため、ハードウェア&クラウド層ではストレージの暗号化やセキュリティチップ(Trusted Platform Module:TPM)、セキュアブート、AMD SEV(Secure Encrypted Virtualization)をサポートしてきた。また、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureにも対応する。

 Linuxカーネル層ではカーネル自身のセキュリティホールから自らを保護する「Kernel Self-Protection」プロジェクトにも寄与してきた。OS層でも、パスワードによらない認証規格「FIDO」に対応するとともに、暗号化ハードウェアの有効性を検証するベンチマークのFIPS 140-2を遵守している。その成果としてLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を傘下に持つIBMも、メインフレームの「IBM Z」や「LinuxONE」でUbuntu 20.04 LTSのサポートを表明した。

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