また、この担当者はデジタルに詳しくない人に説明する際、クリックとかドラッグといった言葉も使わないことを心がけた。さらには、問い合わせアプリを作成し、どんなことでも書いてもらうようにした。そのおかげでkintoneの運用がレールに乗り、新規事業もうまくいったのだ。
ある病院では、エクセルから脱却するためにkintoneを導入。しかし、担当者の元には使うほどに「エクセルと違う」とか「前のに戻して」というクレームが寄せられ、自己満足に浸っていただけだと気がついた。
そこで、アールスリーのカスタマイズプラグイン「gusuku Customine」を導入し、徹底的にユーザーが入力する際の手間を省くようにした。同時に手厚いサポートも行い、現在では活用されるようになっている。
「gusuku Customine」では標準機能では難しい細かい挙動を実装できる
キャプチャ:筆者
kintoneは自転車と似ていて、いくら説明されても実際に触るまでは実感を得られない。逆に、使ってしまえば、難しくないことを体感できる。そこで、ある建築関係の会社では業務とは関係のないアプリから導入した。福利厚生の申請を受け付けるアプリを作成したのだ。社員が飲み代や観戦チケットを欲しいときに利用するものなので、自然と社内に浸透していった。その後、本格的な業務アプリの導入を開始し、システムを離陸させることができた。
シニアの場合、kintoneのシンプルUIさえ無理という人もいる。スマホも使ったことがない人だと、フォームに入力したり、プルダウンメニューを操作したりするのも難しい。
そんな課題を持っていたある伝統工芸品の製造会社では、アーセスが開発・提供しているタスク管理プラグイン「KANBAN」を導入した。工芸品を作る場合、多数のステップを経るが、職人がどの作業を手がけていて、どの作業が終わっているのかを把握する必要があった。従来は大きな紙で管理していたが限界が来たため、kintoneを導入することになったのだ。
しかし、70歳代の職人はパソコン操作ができないと言ってきた。そこで、カンバン方式でタスクを管理できるプラグインを導入。タッチディスプレイを搭載するパソコンを購入し、職人は自分のタスクが書かれているカンバンを指で動かして工程を進められるようにした。キーボードやマウスに触れる必要もないので、無事、全社での活用が進められた。
タスク管理プラグイン「KANBAN」
キャプチャ:筆者
kintoneでアプリを作るのは簡単だが、社内に浸透させて活用していくのはなかなか難しい。とは言え、多数の企業が工夫と努力で結果を残しているので、これから導入する企業は事例を参考にして、さくっとハードルを飛び越えて欲しい。企業のデジタル変革は待ったなしの状況になっている。業務システムに悩みを抱えているなら、まずはサイボウズに相談するか、kintoneを試用してみることをお勧めする。