NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とPwCコンサルティングは、デジタル設計データを活用して製造業の設計・調達関連業務の効率化を実現する「デジタルマッチングプラットフォーム(設計/調達DX)」を2020年度中に商用化する計画だ。7月には共同で実証実験を始める。
これは、NTT Comが推進する、製造業のデジタル変革(DX)を支援し、“新しいモノ&サービスづくり”への貢献を目指す「Smart Fatory」の第一弾と位置付けられるもの。基本的なイメージはクラウド上に構築されるマーケットプレイスで、メーカー(発注側)とサプライヤー(部品加工業者、受注側)の間での受発注・取引を支援し、効率化することを目指す。
現状での典型的な“非効率”としては、例えば、発注元メーカー内部の情報共有が進んでいないために「過去の同一部品を新たに設計してしまう」といったケースが挙げられている。
デジタルマッチングプラットフォームでは、部品発注に必要な仕様・補足情報をクラウド上で一元管理する機能や、類似部品解析AI(人工知能)を活用して過去の設計データを類似部品ごとにカテゴライズ、設計データのカタログを自動生成する機能などが提供され、重複業務の発生を抑制する。現段階では、まずは実証実験に参加するパートナー企業の選定段階で、メーカー数社がPoC実施に向けて調整中だという。
提供機能の概要
NTTコミュニケーションズ スマートファクトリー推進室長の赤堀英明氏は「NTT Comの強みである『つなぐ』を起点とした“業界協調型デジタルプラットフォーム”により、共創協調領域の効率化、真のコアコンピタンスへのリソース投下を可能にし、日本の製造業がグローバルな競争環境の中で世界に引けを取らないために業界全体の底上げに貢献したい」と語った。
また、今回のPwCコンサルティングとの協業については「NTT Comの培ってきたICT(情報通信技術)などの技術・リソースと、PwCのFuture Design Labにおける『未来のものづくりの在り方』の創造のノウハウを組み合わせる」ものだとした。
続いて、PwCコンサルティング ディレクターの三山功氏は、デジタルマッチングプラットフォームで提供される機能として「マッチング型デジタルマーケットプレイス」「入札型デジタルマーケットプレイス」「AI部品形状クラスタリングの集中購買機能」「仕様・補足情報の一元管理機能」「重複設計の防止機能」「見積・受注履歴の検索機能」の6つを紹介し、利用企業のニーズに合わせて順次拡大していく計画だとした。
今後の拡張予定
また、提供形態として全機能のパッケージ導入や個別機能のカスタマイズ導入などが考えられるとしつつ、現時点では詳細は未定だとし、7月からの実証実験の結果などを踏まえて決定されるとの見通しを示した。
なお、NTT Comの赤堀氏は、想定される事業規模について「Smart Factory全体でこの数年来で200億~300億円の売り上げを目指していきたい。そのうち、デジタルマッチングプラットフォームはできれば100億円程度の規模まで育てていきたいと考えている。そのためには参加企業が数千社規模になることが必要だと考えており、現在は数千社の参加企業を実現することを目指している」とした。
提供形態