やまやコミュニケーションズ(やまや)とシグザムは、日本IBMと共同で、辛子明太子の製造過程でのたらこの異物検査やグレード判定に、人工知能(AI)を活用する取り組みを開始した。
3社はディープラーニングによる画像認識の実証実験およびプロトモデル開発を行い、人手による作業と同等かそれ以上の精度を達成するAIモデルを開発している。
たらこの異物検査やグレード判定では、スキルを持った人材確保が難しく、属人化しない対策が求められていた。今回の開発プロジェクトでは、水産物に付着した微小な生物や繊維物といった異物が適切に除去されているかどうかを検査する異物検査の工程と、分類基準に基づいたグレード判定の工程を対象としたAIモデル開発を行った。
特に、グレード判定についてはベテランの作業員が無意識のうちに行っている複雑な判定基準を、モデルの学習と評価を繰り返しながら有形の基準として顕在化させ、それぞれの基準をAIモデルとして落とし込み、複数のAIモデルを組み合わせることで、人間が判断する精度と同等かそれ以上の精度で、異物検査やグレード判定が可能であると実証した。
日本IBMは、同プロジェクトにおいて、POWER9プロセッサーとNVIDIA GPUを搭載したAI専用サーバー「Power System AC922」とディープラーニング構築支援サービスを提供し、AI開発プラットフォーム「IBM Watson Machine Learning Community Edition(旧名:IBM PowerAI)」で今回のAIモデルを開発した。また、やまやでのAIモデル内製化にむけたスキルの引き継ぎも実施している。