日本IBMと東京海上日動火災は、天候データを利用して強風が発生したエリアで被害レベルを予測するAI(人工知能)モデルを共同開発したことを発表した。台風による風災被害の予測技術を適用することを目的にした実証実験で効果を確認したという。
この取り組みでは、IBMグループのThe Weather Companyの気象データや、東京海上日動の災害対応を通じて得てきたデータ、また、日本IBMのデータ分析ノウハウなどを活用する。データや分析を通じた機械学習によるAIモデルによって強風エリアでの被害レベル(被害の有無、被害件数、保険金支払見込額)を早期予測する。
現状では、台風のような影響が広域に及ぶ災害で調査などに多くの時間と労力に費やす必要があり、受付から保険金の支払いまでに時間がかかっている。AIモデルを活用してこのプロセスを効率化し、迅速に支払えるようにすることが目的になる。
両社が実証実験で、2018年に発生した台風21号における大阪府での実際の保険金支払い件数とAIモデルで予測した支払い件数を比べたところ、誤差率は5%以内のAIモデルの精度の高さが認められたという。
今後について両社は、より細かい粒度のオープンデータや多くの台風データを学習させて、AIモデルの精度を向上させていくとする。また、個別契約単位での被害額予測やAIモデルの汎用性についても検証を進め、保険金の迅速な支払いや防災・減災対策への活用などにつなげていくとしている。