新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がカリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアを襲い、自宅待機命令が発令された時、VMwareのワークフォースは既に万全の準備を整えた状態にあった。従業員の多くは既に在宅勤務に慣れ親しんでおり、同社自身も堅牢な事業継続計画/災害復旧計画を用意していた。
VMwareの最高情報責任者(CIO)であるBask Iyer氏は米ZDNetに対して、「われわれは3万5000~4万人におよぶ従業員の勤務形態をリモートワークへと1日で切り換えた」と述べ、「これまでのところではまったく非の打ちどころがない。唯一の不満があるとすれば、『以前よりも集中して働けるため、非常に生産性が高い』という点だ」と続けた。
つまり、人々をオフィスに呼び戻すのは難しくなるかもしれないということが分かったのだ。
Iyer氏は、「単純に『よし、これで片が付いた。彼らを呼び戻そう』というわけにはいかない」と述べ、「人々を安全かつ効果的に(オフィスに)復帰させるには、さまざまな点を考慮しなければならない」と続けた。
また同氏は、どのオフィスの業務を再開するのかといった点から、予防的な安全対策や新テクノロジーの採用といった点に至るまで、VMwareが現在検討しているあらゆることについて語ってくれた。
さらに同氏は、人々が従来の生活を取り戻そうとするなかでさまざまな問題が持ち上がってくるだろうが、現在の状況をきっかけにすることで、職場を何らかのやり方でより良いものに変えたいという希望を述べた。
同氏は「私は楽観的に考えようとしている」と述べ、「危機を無駄にしてはいけない」と続けた。
人々をオフィスに呼び戻す
最初に検討すべきは、いつ、どのオフィスの業務を再開するのかだ。とは言うもののIyer氏によると、VMwareは当然ながらオフィスを早期に再開することで法を犯す気はないという。
同氏は、「われわれはおそらく、少し保守的な立場を取るだろう。というのも実際のところ、従業員の多くは在宅勤務で作業を進められるためだ」と述べた上で、「われわれはオフィスの再開を望んでいるが、従業員のなかには臨時休校の子どもを抱えながらもベビーシッターを雇っていないという人も数多くいる。このため、長期にわたってオフィスに出社できない人々がいるという事実は無視できない。われわれはおそらく、従業員が出社したいと考えるようになるまで在宅勤務を許可する一方で、出社した際の作業手順についても用意している」と続けた。
同氏は、オフィスの再開にあたってはソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)を守れるようにする必要があると述べた。PwCが最近実施した調査によると、最高財務責任者(CFO)の65%は物理的距離を確保するために作業環境の見直しを考えているという。
VMwareは、建屋に収容できる妥当な人数や、全員の安全を確保するための出社人数の上限をオフィスごとに決定するために、別途チームを用意している。彼らはソーシャルディスタンシングを考慮した座席配置や、警告やティップスを記した掲示物の必要性、清掃/管理サービスの業務に見直しが必要かどうかを検討している。Iyer氏は「現在、この種の意思決定を進めているところだ」と述べた。