4回に渡ってDXを成功させるための組織改革を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。繰り返しになりますが、連載で紹介した「行動規範を明確にする」「仕事の役割を明確にする」「コミュニケーションを最適化する」「人事制度を実力主義にする」といったプロセスはすべて経営改革に直結します。
経営改革を成功させるためには、組織をヒエラルキー型ではなくジョブ型にしてフラット化することです。そして、各ロールの状況を可視化し、意思決定の基準を明確にして改革を根付せることが重要です。
こうした仕組みをMicrosoftでは「ROB(Rhythm Of Business)」と呼んでいます。つまり、ゴールやコミュニケーション、人事評価をきちんと設計してフォーマット化し、スピード感を持ってPDCAを回せば、DXは実現できるのです。そのためには、組織改革が欠かせません。
DXを進めるうえでは、風通しがよい横断的な「横串チーム」が重要です。2020年は「緊急事態宣言」が出されるなど、企業を取り巻く環境は一変しました。リモートワークを余儀なくされたことで、既存のビジネスプロセスを見直した企業も多いでしょう。今回紹介した取り組みは、こうした変化にも柔軟に対応できる組織の構築にも役立ちます。
本連載が自社のDX実現に少しでも役立てられたら幸いです。

- 各務 茂雄(かがみ しげお)
- KADOKAWA Connected 代表取締役社長
- 情報経営イノベーション専門職大学 准教授
- EMC CorporationやVMware、マイクロソフトなどでエンジニアやプロダクトマネージャー、クラウド技術部部長などを歴任。楽天ではプロダクトマネージャーとして楽天優勝セールを支えるインフラの構築、アマゾン ウェブ サービス ジャパンではコンサルティングチームの責任者として顧客企業のクラウド導入・移行支援を統括した。ドワンゴではICTサービス本部長として、同社のインフラ改革を1年で実現した実績を持つ。