イタリアのバチカン・カトリック大学付属アゴスティーノ・ジェメッリ病院(Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCS)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うICU(集中治療室)ベッドの需要予測や合併症の発症予測に人工知能(AI)を活用している。
同病院では、SAS Instituteのアナリティクス基盤を用いて、新型コロナに関するさまざまな緊急業務部門からの情報提供要請にも対応している。
同病院の救急・緊急部門では短期的な感染者数の予測を行おうとしており、入院患者やICUにおいては医療記録から収集した診断/治療情報の分析が必要とされた。また管理部門では新型コロナに関わる症例報告および最適なリソースの配分管理、研究機関ではパンデミックへの長期的な対応を探るためのAIアルゴリズムを用いた計算分析ツールが求められていた。
そこでSAS製品のテキストマイニング技術を利用することで、情報を自動的かつ迅速に抽出することを可能にし、新型コロナの感染患者に関する重要な臨床データを構造化していった。そして臨床医、病理研究者、データ分析官、専門コンサルタントの連携により、病状の進行についての仮説とその検証を目的として新たなクラスターの予測要因の判断が行えるようなった。
また病院の分析チームは、SASのアナリティクス基盤などを利用し、新型コロナ感染患者の入退院状況や病院内での移動をリアルタイムで監視できるモニタリングシステムを構築した。これにより、ICUのベッドの稼働率を監視するとともに、一定の基準に基づいて検査結果や死亡者数のデータをグループ分けして、その傾向を可視化できるようになった。こうした双方向型のダッシュボードを用いることで、リソースやスタッフの配置についてより効率的な計画を立てられるようになったという。
SASでは、新型コロナへの対応に迫られる施設や企業をサポートする用意があり、データや予測技術を活用して、この特定の瞬間や回復に向けた活動を支援して行っていくとしている。