本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 日経平均2万円超え、ワクチン・経済再開への期待
- 株式市場が注目する強弱材料
- 楽観シナリオと悲観シナリオ
これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
日経平均2万円超え、ワクチン・経済再開への期待
先週、GW明けの2日間(5月8・9日)の日経平均株価は、合わせて560円上昇し、2万179円となった。コロナ感染鈍化を理由に、中国・米国・欧州で徐々に経済を再開しつつあることが好感されている。また、世界中でワクチン・治療薬の開発が予想以上の速さで進み始めていることも、好感されている理由だ。
日経平均日足:2020年1月4日~5月9日

8日に発表された4月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が戦後最大(前月比2050万人)の減少。失業率が戦後最悪の14.7%まで悪化したことが分かったが、それに米国株は、反応しなかった。NYダウは堅調で、足元の悪化よりも、先行きの回復期待に投資家の目が向いていることが分かる。
NYダウ日足:2020年1月2日~5月9日

NYダウは、4月30日にトランプ米大統領が、新型コロナウイルスへの初期対応を誤った中国に報復を示唆、制裁関税を課す可能性に言及したことから、米中対立再燃の懸念で下落した。しかし現在は、5月7日の米中電話協議で、「第1段階合意」維持を確認と伝わると、不安はいったん収まった。
米ナスダック総合指数は、もっと勢いよく戻っている。グーグル・アマゾン・フェイスブック・マイクロソフトなど、世界のITインフラを支配するハイテク株の比率が高いからだ。
NYダウ日足:2020年1月2日~5月9日

新型コロナウイルス感染防止のため、世界中でリモートワーク、リモート会議、Eコマースの活用が一段と拡大しているが、アフター・コロナ(コロナ終息後)の世界で、ITによる技術革新が一段と進み、米IT大手の支配力、成長性がさらに高まると期待されている。
一時、史上初のマイナス価格まで落ち込んだWTI原油先物(期近)が、24ドル台まで戻ってきたことも、安心感につながった。原油急落により「逆オイルショック」が起こる不安が出ていたが、その不安が低下した。
WTI原油先物(期近)日次推移:2020年1月2日~5月9日

注:4月20日につけた史上初のマイナス価格は5月限、4月21日以降は6月限