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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」
山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

新型コロナ対策の機能追加やボランティアのサービス開発--都市封鎖中に活躍した中国の開発者たち

山谷剛史

2020-05-14 07:00

 新型コロナウイルスが中国で流行りだした1月末から、多くのシステム開発者が動員され、幾つかの緊急事態向けサービスがリリースされた。

 例えば、中国での感染拡大時には、オンライン授業などにも活用できるビデオ会議機能付きのオフィススイートが普及した。これに急きょ、ユーザーの健康レポート機能が追加された。TikTokで有名な字節跳動(Bytedance)は、自社開発するオフィススイート「飛書(Lark)」で、グループ共有する健康ノート機能を1月25日に考案し、27日に社内公開、29日に一般公開という迅速な対応をとった。

 報道によれば、1月21日に新型コロナウイルスが話題となってきたとき、Bytedanceが数万人の社員向けに、毎日の健康状態と体温測定と位置情報をレポートするよう指示したことから始まる。各人が自由な形式で報告したり、全く報告しない人もいたりして、社内の統計情報として活用できるものではなかった。BytedanceのLARKチームはそうした状況を見て、メンバー全員の健康情報を即時に可視化し、分析レポートを表示することができるレポート機能を追加しようと決めた。

 別々の都市で勤務するリーダー2人が、20人ほどの開発者、4~5人の運営者とともにグループチャットで打ち合わせし、各人が自宅で開発を進め、3日以内に新機能をリリースすると目標を定めた。開発者を昼夜で2つの班に分け、全員の役割分担を明確にした。音声チャットとビデオメッセンジャーで開発者全員が常時オンラインでつながり、連絡を取り合った。自宅での開発だったので、どこかの家の子どもの泣き声が聞こえることもあったという。

 BytedanceでLark代表を務める謝副総裁は「短期と長期の在宅ワークは違う。短期の場合は、プロジェクトも目標が明確で、それに一団となって向かっていける」としている。また同氏は「長期にはこのような手法は向かない」と言いつつも「メンバー各人の目標が分かりやすく見られる目標管理方法『OKR(Objectives and Key Results)』を活用するといい」とコメントした。

 個人の開発者も動いた。BytedanceのLarkでの動きとほぼ時を同じくした1月23日、湖北省武漢がロックダウン(都市封鎖)したことを受け、3人の開発者がボランティアで、病院に医療物資を届けるネットサービスを約1日という早さで開発した。それは非営利のウェブサービスで、湖北省のどの医療施設がどれほどの医療物資を必要としているかを示すものだ。粗削りの部分は多かったが、その役目を十分に発揮した。

湖北医療物資需求信息平台の画面 湖北医療物資需求信息平台の画面
※クリックすると拡大画像が見られます

 この開発者らは中国のミニブログ「微博(Weibo)」で、協力者を募るための書き込みをする。「湖北医療物資需求信息平台のデモ版がリリースされた。ボランティアが開発したもので、湖北省とは関係ない非公式なサービスだ。救急物資が送れる病院と連絡が取れる人は協力してほしい。プラットフォームは医療物資を必要な病院に送ることを目的としたもので、サイトに書かれた必要品リストのデータソースは各病院のSNSのオフィシャルアカウントになる。そこでデータソースが正しいかどうかを電話で直接確認する協力者がほしい。現在のところ150を超える病院が必要とされる情報を収集済み」といった内容だった。これが3万のシェアと約2000のコメントで拡散された。

 データ確認の協力者が現れただけでなく、サービスをより使いやすいように作り直す開発者も出てきた。当初は3人態勢で開発していたのが15人にまで増え、ユーザーインターフェース(UI)、バックグラウンド処理、テスト、ユーザーサポートが改善された。その結果、4日間で3回にわたって根本的な見直しを含むバージョンアップが行われ、サイトは格段に検索しやすくなり、見やすくなった。2月上旬には、600施設を超える湖北省の医療機関の必要情報が分かりやすく掲載されるまでになった。さらにその後、騰訊(Tencent)と提携することになり、サービス名称を「E起支援疫情物資供需平台」と変え、中国全土の病院をカバーするサービスになる。

 上述の2件の開発ストーリーは複数のメディアで転載された。中国の開発者に対して、災害が発生し、在宅を強いられたときでも、各人が協力してオンラインで状況を改善するツールを開発できることを伝えたわけだ。

山谷剛史(やまや・たけし)
フリーランスライター
2002年から中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、ASEANのITや消費トレンドをIT系メディア、経済系メディア、トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』など。

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