Amazon Web Services(AWS)は米国時間5月11日、機械学習(ML)技術を活用した、エンタープライズ向け検索サービス「Amazon Kendra」の一般提供(GA)を開始したと発表した。Kendraを利用することで顧客企業は、MLの専門知識がない場合でも、社内ドキュメント向けのより優れた検索エンジンを構築できるようになる。
AWSは2019年にラスベガスで開催した年次カンファレンス「re:Invent 2019」でAmazon Kendraを発表した際、企業内のデータはインターネット上の情報とは異なり、検索が困難な場合もあると強調していた。
AWSの人工知能(AI)担当バイスプレジデントであるMatt Wood氏は、企業内のデータはしばしば構造化されておらず、サイロ化されていると説明した。ファイル内では異なったフォーマットが使用されていたり、「SharePoint」や「Dropbox」などのさまざまな場所に保管されている場合もある。その結果、社内データの検索ツールは通常、精度の面で十分とは言えず、限られた数のサイロしか検索対象になっていないこともある。
Wood氏はre:Invent 2019で、Kendraは「社内検索の能力を変革する」と述べた。
顧客はまず、コンソールからKendraの照会対象としたいサービス群の情報を提供することで設定を行う。これによりKendraは、組織のドキュメントやFAQなどに基づく検索インデックスをML技術を用いて構築する。またKendraは自然言語理解技術を利用して、ドキュメント内に記述された情報の意図とコンテキストとともに、コンテンツとドキュメントの間の関係を学習する。
Kendraは、キーワードでも自然言語でも照会を受け付けるようになっている。また、適切なドキュメントを見つけ出すとともに、可能であれば直接的な回答を提示するようにもなっている。例えば「ITのサポートデスクはどこにあるのか?」と尋ねた場合、Kendraは適切なリンクとともに「3階です」と応答できるという。
またKendraは、特定分野の複雑な用語を理解するように最適化されている。このため、ヘルスケア業界やライフサイエンス業界の顧客は「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の遺伝子マーカーとは何?」という質問を、保険業界の顧客は「ポリシーの変更が有効になるまでにどれだけかかるか?」といった質問を投げかけられるようになる。
Kendraは現在、IT関連やヘルスケア、保険、エネルギー、産業、金融サービス、法務、メディア、エンターテインメント、旅行、ホスピタリティー、人事、報道、電気通信、鉱業、食品/飲料品、自動車の業界固有の用語をサポートしている。そして、さらなる業界に対するサポートも2020年の後半に追加される予定だ。
既にKendraを利用している顧客やパートナー企業として、3MやPwC、アレン研究所の名前が挙げられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。