オープンソースプロジェクトとして開発されているプログラミング言語「Rust」のチームが5月、バージョン1.0のリリースから5年を迎えたRustのマイルストーンをブログで振り返った。
RustはMozillaによって開発された。今日では、「Apple、Amazon、Dropbox、Facebook、Google、Microsoftなどの大企業がプロジェクトのパフォーマンス、信頼性、生産性を高めるために、Rustを使うという選択をしている」という。
ブログには、「Rustは、信頼性と効率性に優れたソフトウェアの構築能力をあらゆる人々にもたらそうとする汎用目的のプログラミング言語だ。Rustは、OSのカーネルだろうと、次世代のウェブアプリだろうと関係なく、スタック内のどこででも実行できるようにビルドできる」と記されている。
Mozillaの開発者らは2014年、Rustのバージョン1.0がリリースされる前から、「Firefox」ブラウザー用の「Servo」というレンダリングエンジンを構築するためにRustを使用していた。その主な目標は、メモリー関連のセキュリティバグをFirefoxの「Gecko」レンダリングエンジンから根絶するというものだった。こういったバグの多くは、C++の「安全でないメモリーモデル」に起因している。
そして2019年にMicrosoftは、CやC++で記述されている「Windows」コンポーネントの一部をRustで記述し直すという実験を開始した。こうした動きは、同OSにおけるメモリー関連のセキュリティ脆弱性をなくしたいという思いからきている。
さらに、「Microsoft Azure」の開発者らは最近、「Krustlet」の開発でGoogleのプログラミング言語「Go」ではなくRustを選択したことを明らかにした。Krustletはクラウド開発者向けのツールであり、これを使用することで、Googleが生み出した人気のコンテナー管理システムである「Kubernetes」内でブラウザー非依存のモジュールである「WebAssembly」をテストできるようになる。
Rustにとっての重要なマイルストーンは、Microsoftが4月30日に、Rustを用いたWindowsアプリや、クロスプラットフォームアプリ/ドライバーの開発を容易にするために、「Windows Runtime」(WinRT)向けのRustライブラリーのパブリックプレビュー版をリリースしたことだ。
Rustプロジェクトは同ブログに「Windowsに対するRustのサポートは、ここ5年間における最も大きな進歩の1つだ」と記している。
また、「現在では、高品質のネイティブなクロスプラットフォームアプリの構築がかつてないほど容易になっている」とも記している。