本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日本IBMが提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)のための“共創”サービス「IBM Garage」を取り上げる。
DXの実現に必要な技術やノウハウなどを提供
日本IBMは先頃、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により企業がニューノーマル(新常態)における経営を検討する中、DXを実現するために必要な技術、ノウハウ、人材、検証スペース、ソフトウェア、ハードウェアを包括的に提供する統合サービス「IBM Garage」について、ワークショップの実施からプロトタイプの作成や検証、ソリューション開発までをリモートで行えるよう拡充し、提供を開始すると発表した。
ビジネス環境が変化する今、“人が動けない”ことを前提にした業務態勢の強化が必要だ。直面する課題への対応とともに、今後の新しい商流、商習慣も見据えた上でDXを停滞させることなくスピードを持って進めるためには、アイデアを創出し、それを具現化する取り組みにも、リモート環境で迅速に進めることが求められている。
同社が2018年1月に提供を開始したIBM Garageは、企業がDXを実現するために必要な要素であるコンセプト、方法、ツールなどをIBM独自のメソドロジーとして整備し、技術、ノウハウ、人材、検証スペース、ソフトウェア、ハードウェアを包括的に提供するサービスである。(図1)
図1:IBM Garageのサービスイメージ
このサービスを活用すれば、DX実現の土台となるカルチャーの醸成、ビジョンやアイデアの創出、ビジョンやアイデアを形にするプロトタイプの構築、人工知能(AI)やアナリティクスといった最先端技術の適用に向けた実証などを行うことができる。
今回、このIBM Garageにおいて、新たにリモート環境でもDXを推進できるように内容を拡充。ツールとしてクラウド型のホワイトボードやミーティング、チャットなどを活用できるようにするとともに、作業におけるルーチンを明確化したり、タスクの可視化を行うことで、リモート環境でも効果的かつ効率的に取り組めるようにした。
例えば、ワークショップはオンライン会議形式で行うが、従来提供してきたエンタープライズ・デザインシンキングのスキルや知見を生かしながら、豊富な経験を持つファシリティターが全体の流れをリードし、リモート環境でもアイデアを創出できるように支援する。