DXを主体的に推進する顧客企業の不足部分を支援
以上が、発表の概要だが、筆者がこのIBM Garageに注目したのは、図1にあるように「デジタル変革(DX)のための“共創”サービス」と銘打っているからだ。
DXのための共創サービスとはどういうことか。日本IBMが2020年2月に開催した顧客企業向けイベント「IBM Open Technology Summit」の際に行った記者会見で、筆者は同社の山口明夫社長にIBM Garageの内容とともに日本で展開する意図を聞いた。これまでIBM Garageについて記事にしたことがなかったので、そのやりとりについても書く機会がなかったが、今回を機に山口氏の返答を以下に記しておきたい。
日本IBM代表取締役社長の山口明夫氏
「DXと言っても何に対して何を使って誰がどう取り組めばよいのかと、頭を悩ませておられるお客さまが少なくなく、手伝ってくれとのご要望をいただくケースが増えてきている。そこで、DXを主体的に推進するのはあくまでもお客さまで、当社はその取り組みにおいて足りないところを支援させていただく形で、共に創造していくサービスを提供することにした。それが、IBM Garageだ。このサービスによって、日本企業のDXへの取り組みをしっかりと支援していきたい」
ユーザー企業とITベンダーの間でDXの実現に向けて個別に「共創プロジェクト」を立ち上げて推進するという話は、数年前からよく聞くようになったが、サービスとして図1のような形で整備したのは、筆者が知る限りではIBM Garageが初めてだ。
今回のIBM Garageのリモート対応も必然の話だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「コロナ危機」は、あらゆる企業にDXを迫っているといっても過言ではないだろう。IBM Garageを活用するのはさしずめ大手企業かもしれないが、中堅中小企業にも利用できるコストパフォーマンスのよい共創サービスが出てくるのを期待したいところである。