“使い回し”が被害の原因--今すぐ考えたいパスワード「だけ」認証の問題点 - (page 3)

Raul Mendez (インターナショナルシステムリサーチ)

2020-05-25 06:45

 ただでさえリモートワークで膨大な業務がのしかかるIT管理者、そして慣れないリモートワークでストレスを感じている社員両方にとって負荷が多くなってしまいます。

 この問題を解決できる対策の一つとして「パスワードを使わない」認証があります。

 IDと「Windows Hello」やセキュリティキーなどを用いて行う認証方法です。

 デバイスを触れるだけ、見るだけの1度の認証でさまざまなサービスを利用できる利便性がありながらも、サーバーと秘密を共有しない「FIDO2」の仕組みが使われているため、ハッキングリスクにも対応できます。

 実際に私たちISRは、このパスワードレス認証により、リモートワークをスムーズに導入でき、セキュリティと利便性を両立した環境も築けました。そして今では、一人としてパスワードを利用した認証に戻りたくはないと思っています。

利便性の隣にはいつも脅威が潜む

 新型コロナウイルス拡大で急激に普及したリモートワーク。

 私たちは、ウェブ会議ツールやチャットツールなどさまざまな素晴らしいサービスによってリモートワークを行うことができています。しかし、そのサービス拡大をいいことに便乗した脅威も現実に起こっています。利便性の隣にはいつも脅威が潜んでいるのです。

 今後も新型コロナウイルスは最低でも1年は続くと言われ、また2019年に施行された働き方改革の要請もあるため、リモートワークが当たり前の時代となるでしょう。だからこそ一時的な対策ではなく、基本的なルールや今までの認証のやり方を見直し、対策を徹底する機会と捉え、取り組んでみてはいかがでしょうか。

Raul Mendez(ラウル・メンデス)
インターナショナルシステムリサーチ 代表取締役
南米コロンビアで生まれ育ち、米カリフォルニア大学バークレー校応用数学の博士課程を修了後、米海軍大学院大学の数学科助教授として、スーパーコンピューターを用いて流体解析の計算を手がける。
同様の研究をしていた日本の宇宙科学研究所の研究者に論文が見出され、当時の日立製作所や富士通、NECが開発したスーパーコンピューターの性能試験をしてほしいと依頼されたのを機に初来日。
以来、流体解析のコードで性能比較テストを行い、1987年、スーパーコンピューターの時間貸しビジネスを始めたリクルートにリクルートスーパーコンピュータ研究所の所長として入社し、その後取締役に就任。
1993年、スーパーコンピュータ活用のコンサルティング会社として、株式会社インターナショナルシステムリサーチ(ISR)を設立

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