新型コロナウイルス感染防止対策でテレワークによる在宅勤務が浸透したことに伴い、クラウドサービスの需要も一段と高まりつつある。アフターコロナは、企業がそれらを複数利用する「マルチクラウド」の時代が到来しそうだ。果たして、競合するサービスの勢力争いはどうなるか。
テレワークの浸透でクラウドサービスの需要も好調
テレワークが浸透したことで、多くの人が初めて利用したITツールといえば、ウェブ会議システムだろう。在宅勤務ながら会社で行う会議と同じコミュニケーションがとれることで、一気に広がった。ついでにオンライン飲み会も広がったところを見ると、どうやらウェブ会議はアフターコロナにやってくるニューノーマル(新常態)における新文化として定着しそうだ。
そのウェブ会議をはじめ、テレワークで利用する各種の業務・業種アプリケーションもクラウドサービスを使う動きが活発化している。あらかじめお断りしておくと、ここで言うクラウドサービスとはパブリッククラウドサービスを指す。便宜上、IaaSとPaaSを「クラウド基盤サービス」、SaaSを「クラウドアプリケーション」と呼ぶことにする。そして、ここで言うマルチクラウドは、それらを複数利用することである。
クラウドサービスの需要が拡大しているのは、大手ベンダーの売り上げの前年同期比伸び率を見れば一目瞭然だ。グローバルでクラウド基盤サービスの大手3社における2020年1〜3月期の実績によると、Amazon Web Services(AWS)が32.8%、Microsoftが38.5%、Googleが52.2%と、絶好調だ。クラウドアプリケーションではCRM(顧客関係管理)最大手のSalesforce.comも35.2%を記録。ちなみに、MicrosoftとGoogleはクラウドアプリケーションでも有力なベンダーだ。
こうした大手だけでなく、特にクラウドアプリケーション分野ではそれぞれの業務・業種分野で新興ベンダーも群雄割拠の状態だ。この動きもアフターコロナに向けて、マルチクラウド化がどんどん進むと筆者が見る所以だ。4月以降もこの勢いは変わらないどころか、さらに加速しそうだ。