作業の時間を自由に
今回在宅勤務への切り替えで、ウェブ会議を初めて実践された方も少なくないでしょう。しばらくは音声がつながらないなど機器のトラブル、ミュート操作など習熟度への課題があり円滑に会議が実施できないという経験が続きます。
一方で、多くの方がウェブ会議慣れし、会議が増加した、会議続きで疲れがたまるといった別の課題が上がってくるようになりました。移動時間の制約がないためカレンダーに少しでも空き時間があれば会議が追加されてしまい、結果として座ったまま3つ連続で異なるテーマの会議に参加しなければならない、というような状況もあるようです。
自宅にて育児や介護を必要としているケースでは、託児所、学校、介護施設が利用できず、在宅で仕事をしながら家族が交代で対応することになります。こうした状況で夫婦が共働きをしていると、二人の予定が会議で埋め尽くされた時には育児、介護に誰も対応できなくなるといった深刻な課題もあります。
第2回でも紹介しましたが、非同期的に作業できるよう業務フローを少しずつ変えていくことが短期的にも中長期的にも必要な対応となります。会議では情報伝達や意思決定といった目的のほか、管理職の方はメンバーの表情や様子から健康状態、チームの雰囲気などを感じ取り、対策を準備している方も多いでしょう。筆者も前職で管理職だった際に、表情や雰囲気といった言語化されない情報を得るために定期的な会議を実施していました。
一方で、全業務時間のうちの何割を会議にとられているか集計してみたところ、定例的なものだけでも2割以上、すなわち1週間のうち1日以上を費やしていることがわかりました。
前述のような非言語コミュニケーションのためにも実施は必要ですが、会議の“断捨離”を決断しない限りチームの生産性を損なうだけでなく、リモート環境でのストレスも加わりモチベーションや健康面での影響も発生します。
今回は短期的課題に対して、少しずつ対処を進めていく方法をご紹介しました。新型コロナウイルスの動向は予測が難しく、計画も立てるのが難しい上、どれも手探りで進めざるをえない苦しい状況が続いています。
次回は、リモートワークなど働き方の多様性を進めるための中長期的な工夫、取り組みなどを紹介します。
(第6回は6月中旬にて掲載予定)
- 岡崎 隆之
- Dropbox Japan テクニカルアーキテクト
- サン・マイクロシステムズ、ACCESS、グリーを経てエンタープライズ分野からコンシューマー分野に渡る様々な分野でのエンジニアリングに従事。開発生産性や、チーム間の共同作業について様々な施策を実施し生産性向上に貢献。2015年からDropboxカスタマーサクセスチームに所属し、お客様の生産性向上に貢献している。