Oracleは「Oracle Analytics for Cloud HCM」の提供を開始した。日本オラクルが5月28日に発表した。日本市場での提供時期は未定となっている。
Oracle Analytics for Cloud HCMは、クラウド型人材管理「Oracle Cloud HCM」向けのアナリティクス機能になる。クラウド型ビジネスインテリジェンス(BI)「Oracle Analytics Cloud」をベースに開発されている。組織全体から生成される人事関連のデータを「Oracle Autonomous Data Warehouse」に集約し、人事担当幹部やアナリスト、業務部門の管理職などが人材管理に活用できる。
Cloud HCMは、リクルーティング、ヘルプデスク、ラーニング、報酬管理、給与管理、勤怠管理、安全衛生、監査、タレントマネジメントなどの機能を統合した人事業務ソリューション。Cloud HCM自体にもデータ分析機能は備わっているが、データウェアハウスを利用することで大規模データの処理を迅速化し、より高度な分析を可能にするという。例えば、毎日更新されるような定形レポートなどはCloud HCMで、予測分析やKPI(重要業績指標)監視といったより戦略的な分析はOracle Analytics for Cloud HCMで処理するといった使い分けが想定されている。
また、Oracle Analytics for Cloud HCMには人事部門がインサイトをより迅速に獲得できるように、50以上の人事向けKPI、ダッシュボード、主要人事指標(人員構成、離職/リテンション、チーム有効性など)のレポートを提供する。他のデータソースとHCMのデータを組み合わせた意思決定も可能になる。
Cloud HCMの分析機能とOracle Analytics for Cloud HCMの位置付け
Cloud HCM用に事前構築されたダッシュボードとKPI
クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発 HCM担当の丸島美奈子氏によると、近年、人事戦略にデータ分析の手法を取り入れた“ピープルアナリティクス”がグローバルで広まっており、日本でも少しずつ定着してきているという。一方でExcelやAccessなどを使って人事データを管理していることも多く、およそ8割の時間をデータの準備に費やしている。「仮説検証などの分析には時間を避けない状況」と丸島は話す。
Cloud HCMからOracle Analyticsに直接データを取り込むことで、データの準備や分析にかかる時間を削減できるほか、機械学習などの技術が組み込まれているため、時間の経過とともにより精度の高い分析が可能になるという。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業でリモートワークを余儀なくされている。そうした中で、業務の評価方法や社員の管理方法など、これまで以上に大きな課題になっていくだろう。「高い成果を出せるハイパフォーマーを可視化するだけでなく、全員を戦力化していくことが必要だ」(丸島氏)