中国・武漢が震源地と目されているコロナウイルスの世界的大流行の初期段階で状況把握や抑制にデータ分析が活用されたという。日本テラデータが5月28日に解説した。
中国では1月20日に大手通信企業によるビックデータ解析チームが立ち上がり、中国政府へのデータ提供を開始。2月3日に中国政府は新型肺炎対策会議で、人工知能(AI)による医療診断支援や業務支援などの施策にテクノロジーの活用を決定した。このうち、感染状況把握&政策支援、事業再開支援、感染予防&感染追跡についてはデータ分析基盤「Teradata Vantage」が貢献したという。
コロナ対策に1日あたり20TBのデータを分析
中国は衛生当局が保有するデータや行動履歴などから、新型コロナウイルスに感染している可能性を判断する「健康コード」を活用している。広州市が2月上旬に提供を開始し、そこから200以上の地方政府が同様の取り組みを進めた。本人認証後に複数の質問に回答すると、システムが各種データベースで確認し、分析結果から赤・黄・緑と3色のコードを算出する。
日本テラデータ インダストリーコンサルティング 金融サービス シニアコンサルタント 中山思遠氏
この仕組みで特徴的なのが、感染者の追跡ではなく事業再開支援を重視している点。健康コードはオフィスや店舗、公共交通機関への立ち入り制限などに用いられ、感染の拡大と再熱と抑止を目的としている。
日本テラデータ インダストリーコンサルティング 金融サービス シニアコンサルタント 中山思遠氏によると「たとえば『過去14日以内に中程度のリスク地域に立ち入ったか』との質問に対する回答と、通信データに含まれる位置情報とマッチングし、回答の是非を判断する」という仕組みだ。
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Teradataはローミングデータや基地局データ、SIM情報といった通信データを自社製ビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームに取り込み、位置情報や移動経路、リスク群の特定、感染シミュレーションの作成、従業員の感染リスク分析など多岐にわたって分析した。その結果、「感染追跡」「感染予想」「営業再開」の3分野にわたって新型コロナウイルス対策に貢献できた、と日本テラデータは説明する。