Donald Trump米大統領は、法廷と議会に権力が制限された時でも、何度も権限を乱用してきたのだ。企業のリーダーが下す判断は何でも許可され、国民もリーダーシップを求める非常事態の中で、果たして彼に対抗できるのだろうか。
非常時に政府に与えられた権力が、戦わずして戻ってくることは滅多にない。善意に関する古い諺にあるように、私たちは政府が必要なことをしてくれると信じなければならないし、政府が正しいことをしてくれると期待しなければならない。
しかし、Ronald Reagan元米大統領が言ったように「信頼しつつ、検証する」必要がある。危機的な状況下でも、いや危機的な状況下だからこそ、市民には政治に関わり続け、非常事態下における政府の行動が政府自身のためだけでなく、全市民を助けるためのものであるか確認をする義務がある。そして緊急時に政府に与えられた権限が、緊急事態の期間で終わるよう、見張らなければならないのだ。
この記事はAvastのブログを翻訳、編集したものです。
- Garry Kasparov
Human Right Foundation理事長
1963年旧ソ連アゼルバイジャン生まれ。現在はニューヨーク市在住。2005年からロシアの民主化運動を展開している。オックスフォード大学マーティンスクールの客員フェローとして、人と機械のコラボレーションを中心に講義を担当。ビジネスや学問、政治の領域を対象に意思決定、戦略、テクノロジー、人工知能をテーマとした講演活動を続けている。政治、認知、テクノロジー分野での執筆活動は大きな影響力を持っており、世界中の主要出版物で数多く取り上げられている。2016年にAvastのセキュリティアンバサダーに就任した。