IDC Japanは、将来の働き方のために独立した予算を確保している企業の割合が、日本では4割にとどまり欧米では8割弱に上るとする調査結果を発表した。働き方改革を推進するためのITソリューションの導入状況や改革の決定者と予算、改革での促進要因/阻害要因などを分析したもので、調査は新型コロナウイルスのパンデミック前に実施したという。
同社では、独立した予算の有無が、「経営層のその活動に対する積極性や真剣度の表れと解釈できる」と説明する。働き方の独立予算を確保している企業は、日本では41.0%、米国では75.4%、欧州では78.6%となり、日本の取り組みが欧米より大きく遅れている状況が分かった。「自社の取り組みが進んでいる」と答えた企業は、日本が10.5%、米国が41.6%、欧州が20.9%で、日本の自信のなさが目立つと指摘する。
出典:IDC Japan
IDCは、働き方改革には「ワークカルチャー」「ワークスペース」「ワークフォース」の3つがあり、それらに関連するITソリューションの導入状況なども分析したという。
それによれば、ワークカルチャー関連では、日本のデジタルスキルのトレーニングの導入率は31.0%で、米国や欧州よりも14~20ポイント低い。人材採用/管理プラットフォームの日本の導入率も7~22ポイント低い26.0%だった。
ワークフォース関連では、日本のRPA導入率が3地域最多の28.3%に上りながらも、経費や交通費の精算、稟議書の処理といったワークフローの自動化は2地域より25~32ポイントも低い15.3%に過ぎなかった。加えてドローンやウェラブル機器、仮想現実(VR)などのハードウェア導入率も日本は2地域より非常に遅れていることが分かったという。
なお、ワークスペース関連の導入率は、地域差がほとんどないという。ここでは、「社内の共同作業を推進するためのツール」「仕事で必要なアプリケーションやデータにモバイルデバイスからアクセスできる」などが要素となっている。
同社PC,携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は、「パンデミックは日本企業のIT投資の優先度、企業文化や組織の在り方にまで変化をもたらす可能性があり、働き方の未来の実現に向けた取り組みが一気に進展する可能性もある」とコメントしている。