エクストリームネットワークスは6月5日、「ExtremeCloud IQ Pilot」の契約者に対して「無制限のデータ」を提供すると発表した。7月1日以降、新規契約者はサブスクリプションの有効期間中、データへ無制限にアクセスできるようになる。既存契約者は2020年中に無制限のデータアクセスが可能なプランにアップグレードされる予定。
ExtremeCloud IQの2つのライセンス。「Connect」は無償で利用可能だが、今回発表された無制限データアクセスの対象は有償の「Pilot」となる
競合他社などが提供する一般的なサービスでは、データ保持期間が30日間だという。同社の無制限データアクセスは、ユーザーはサブスクリプションが継続している限り何年分のデータでもアクセスできるため、季節変動の傾向を数年にわたって比較するといった分析が容易に出来るようになると期待される。
なお、ExtremeCloud IQは2019年11月14日に日本での提供が開始されたエンドツーエンドのクラウドマネジメントアプリケーションになる。機械学習(ML)と人工知能(AI)を活用してネットワーク全体の可視性、制御、自動化を可能にする。サービス開始の時点で「グローバルフットプリント全体で1日当たり30億を超える高度に計測されたメッセージとイベントのデータ(3ペタバイト)を取り込む」規模だと紹介されていた。
Bukhari氏が示した、これからのクラウドに求められる4つの要件。Availability(可用性)とSecurity(セキュリティ)は一般的だが、Durability(堅牢性)とDuration(期間)はあまり言及されることのない要件かもしれない。今回の発表を受けて、特にDurationの面で大きく進化したことになる
米Extreme Networksのチーフ・プロダクト&エンジニアリング・オフィサーのNabil Bukhari氏は、今回の取り組みを新型コロナウイルスの世界的な大流行を受けた“ニューノーマル”のためと位置付けた。
「この先のニューノーマルがどのようなものになるか、完全に見通せているわけではないが、少なくともクラウドとデータが極めて重要な役割を果たすことになるのは間違いない」と同氏は語り、パンデミックの影響下で企業活動の在り方や人々の働き方や行動様式などが大きく変化していく中で、クラウドサービスを活用したデジタルでの活動やそれを支えるデータと分析技術がこれまで以上に重要な役割と担うと指摘。ExtremeCloud IQにおける無制限のデータアクセス提供が、ニューノーマルの時代を支えるためのデータの提供を意図したものだと説明した。
なお、同社は同日付で「全ての顧客がコロナ終息後のオフィス、学習、生活環境のニューノーマル(新常態)への移行に適応できるようにする#NewNormalイニシアチブを立ち上げた」と発表している。無制限データアクセスの提供と併せて、ニューノーマルに向けていち早く動き始めた取り組みとして注目される。