日立製作所(日立)は、新型コロナウイルスへの対応に必要な人工呼吸器の製造支援を目的に、自社の「組立ナビゲーションシステム」を活用した3D作業手順書を無償提供している。6月5日から1年間、SaaS(Software as a Service)で提供し、パソコンやタブレットなどのウェブブラウザから閲覧することができる。
組立ナビゲーションシステムは、日立の大みか事業所(茨城県日立市)において確立した「高効率生産モデル」の技術・ノウハウを汎用化し、さまざまな製造現場における作業者の負荷軽減と生産性向上に向け、同社が注力するLumadaソリューションの1つとして2017年11月に製品化された。
日立は今回、アイルランドに本社を置き、医療機器を展開する企業Medtronicが無償公開した人工呼吸器の設計仕様(3D CADデータ)を、同システムに取り込んで組立工程ごとに自動で作業手順化して公開する。
組立ナビゲーションシステムを活用した組立手順の公開イメージ(出典:日立)
一般に、設計者は3D CADデータを基に製作図面を作成し、現場作業者がその図面に従って組立作業を行う必要があるものの、専門的な製作図面を読み解きながら組立作業を行うことは、生産現場において負担となっているという。
これに対し同システムは、設計工程で製作される完成品の3D CADの設計データから、現場作業者が直感的に理解しやすい3D作業手順書に自動で変換する。1作業当たり1画面で組立順に沿って表示し、作業者が製作図面から組立の順番を読み解く手間を省くほか、画面に表示される各手順に従って効率的な組立作業を支援する。
今後、利用者間で意見交換をする専用コミュニティーを立ち上げるとともに、作業手順などのノウハウを共有できるサービスの提供も予定している。