Chromiumをベースとする、プライバシー重視の「Brave」ブラウザーが批判の矢面に立たされている。Mozillaプロジェクトの共同創設者で、「JavaScript」の開発者であるBrendan Eich氏が開発したこのブラウザーが、アドレスバーに入力したURLを、同社が収入を得られるアフィリエイトリンクにリダイレクトしていることが分かったためだ。
Braveは、広告閲覧を選択したユーザーに、Braveの仮想通貨である「Basic Attention Token」(BAT)を提供するという仕組みを通じて、新たなビジネスモデルを構築しようとしている。
またウェブサイトの訪問者は、サイトに配信される広告ではなく、自身の関心を引くコンテンツを基に支払いたいはずだという考えに基づき、ユーザーは頻繁に訪れるサイトに、BATクレジットをチップとして支払うことができる。Braveはプライバシーを保護するという約束によって、1500万人のユーザーを抱えるまでになった。
しかし、仮想通貨ニュースサイトDecryptの米国時間6月6日の記事によると、Braveは仮想通貨取引所として人気の高いBinanceのURLを、同社が収入を得られる別バージョンのURLに、ユーザーの同意を得ることなくリダイレクトしていた。
これはあるTwitterユーザーが発見したのだが、binance[.]usもしくはbinance[.]comと入力すると、ユーザーはBraveのアフィリエイトリンクであるbinance[.]us/en?ref=35089877にリダイレクトされ、Braveに報酬が支払われることになる。
Braveは3月、Binanceのウィジェットをブラウザーに統合する合意に達したことを明らかにした。これはMozillaの「Firefox」といったほかのブラウザーとは異なる、新たなビジネスモデルを創出する、同社の取り組みの一環となる。Firefoxはこれまで、Googleなどの検索エンジンプロバイダーとの契約を通じて、収入の大半を得てきた。このウィジェットは、Braveユーザーが容易に仮想通貨を取引できるようにする狙いで作られた。
今回発見されたリダイレクトは、Braveユーザーの信頼を裏切る行為である。また、ブラウザーのアドレスバーに直接URLを入力した訪問者を、Braveへの支払いに含めるべきではないため、アフィリエイトの信頼に対する裏切りとも考えられる。
Braveの最高経営責任者(CEO)のBrendan Eich氏は、リダイレクトの一件について謝罪し、これが「間違い」であったと説明した。
Eich氏はTwitterで、次のように述べている。「当社はミスを犯してしまい、それを正しているところだ。Braveのデフォルトはオートコンプリート機能により、アドレスバーの『http://binance.us』にアフィリエイトコードを追加するようになっていた」「当社はBinanceのアフィリエイトであるため、新たに開いたタブに用意したオプトインの取引用ウィジェットによって、ユーザーをBinanceに紹介する。しかし、オートコンプリートでコードが追加されるようなことは、あるべきではない」
しかし、Twitterユーザーの中には、Braveが単なるミスを犯したという説明に、異議を唱えている者もいる。同社がGitHubで公開しているコードを調べたところ、「Ledger」「Trezor」「Coinbase」のURLも、Braveが報酬を受け取るURLにリダイレクトしていることが明らかになったためだ。
「デフォルトのオートコンプリート機能は、全てのブラウザーが行う検索クエリーのclientid属性にアイデアを得ていた。しかし、キーワードクエリーとは異なり、URLを入力した場合、そのままのドメインに送られるべきだった」と、Eich氏は述べた。
Eich氏は、Braveがウェブページのリンクを書き換えていたのではなく、そのようなことは絶対にしないと強調した。同氏によると、この振る舞いは、ユーザーがブラウザーのアドレスバーにURLを入力した場合のオートコンプリートに限り、起こっていたという。
仮想通貨取引所のURLを、Braveのアフィリエイトリンクに自動的に変換されないようにしたいユーザーは、「Show Brave-suggested sites in autocomplete suggestions」(オートコンプリートの推測にBraveの提案するサイトを表示する)という機能を無効にすればよい。将来提供するアップデートでは、このオプションをデフォルトで無効にする計画だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。