「5G」という言葉を耳にする聞く機会が多くなってきました。言葉の定義としては、携帯電話の通信方式が、現在の4Gから、次の世代(Generation)に変わることを意味しています。
しかし、5Gへの移行は、言葉の意味以上にさまざまなデータ通信の世界に大きな革命を起こすと期待されており、無線電波を使った新しい移動体通信方式と言われています。
5Gとは
5Gの特徴としては、以下の3点が挙げられます。
- 多数の接続が可能であること
- 高速、大容量の通信ができること
- 低遅延であること
これらの特徴を生かした応用例で有名なのは、自動車の自動運転でしょう。
多数の車を同時に接続し(多接続)、それぞれの車に備えられたカメラ映像をやり取りし(高速、大容量通信)、進行方向に障害物があれば、即座に進行方向を変える、あるいはブレーキを掛ける(低遅延)、といったやりとりは、5Gならではと言えます。
5Gの代表例 自動運転(出典:NTTデータ先端技術)
ただ、5Gにも弱点があります。ミリ波(28GHz帯)や、Sub6と呼ばれる「4.5GHz」「3.7GHz」という高い周波数帯を使っており、これまでに利用されてきた4Gの周波数帯と比べて電波の特性上、「長い距離を飛びづらい」「電波の回り込みがあまりできず、建造物などに弱い」という特徴があります。5Gサービスのカバーエリアは狭くなる傾向にあり、多くの基地局を作る必要が出てきています。基地局を作るためには時間がかかるため、地方や遠隔地では、5Gを利用したくてもいつまで経っても利用できない、という状況が考えられます。
ローカル5Gとは
そこで、通信事業者(キャリア)に頼らずに5Gのプライベートなネットワークを構築できる「ローカル5G」が注目されています。ローカル5Gは、企業や自治体が、ある限られた空間、例えば工場などの建物や敷地内に導入できる、“自営できる5Gシステム”です。さまざまな事業者が自分たちで5Gの機器を設置して利用可能にするもので、Wi-Fiのように5Gを使えます。
ローカル5Gは総務省が主体的に進めており、2019年12月24日からローカル5Gの電波免許申請受付を開始しています。
免許申請の受付日には、大手IT企業などの申請が相次ぎました。その中で、富士通は国内初となる商用のローカル5Gの無線局免許を2020年2月18日に取得し、運用を開始しています。
リリース情報によれば、同社のラボ(富士通新川崎テクノロジースクエア)内にて、多数の高精細なカメラの映像をローカル5Gで転送、収集し、解析することで、「不審行動などを早期に検知するセキュリティシステム」を検討しているそうです。