従業員を安全に職場復帰--新型コロナ対策でサービスナウが支援する事業所再開 - (page 2)

河部恭紀 (編集部)

2020-06-15 07:40

 Workplace PPE Inventory Managementは、マスクといった個人用保護具(Personal Protective Equipment:PPE)の在庫ニーズを管理し、モニターする。ダッシュボードを通じて、施設別に個人用保護具の在庫状況を包括的に管理するだけでなく、職場全体の集計や、在庫水準が時間の経過とともにどのように変化したかなど、履歴や詳細も確認できる。個人用保護具の在庫水準は毎日更新され、正確でリアルタイムな在庫管理が可能になる。

 接客を必要とする店舗などの場合、マスクや消毒液などを配備しておくことがより求められるようになる。どれだけの店舗で配備が完了しているか、消費量はどれだけか、不足が発生した店舗にどれだけ発送するかといった管理が可能になると高橋氏は付け加える。

 Workplace Safety Managementは、従業員が安全に職場に戻れるよう、清潔で衛生的、かつソーシャルディスタンスを保った職場を迅速に構築することを可能にする。特定の従業員が同じスペースを使用する際に時間を限定し、使用後直ちに清掃スケジュールを設定することができる。また、レポートおよびダッシュボード機能により、フロア、建物、職場全般にわたって、空席の有無といったワークスペースの予約状況をリアルタイムで確認することが可能となる。さらに、チェック記録の監査や履歴を含め、清掃タスクのステータスをリアルタイムで確認して管理できるようになる。

 職場の再開に際し、従来働いていた従業員の半分だけを曜日ごとに勤務させるといった場合にも、従業員のシフトをルールに基づいて自動でスケジューリングできるようになると高橋氏は述べる。

 これら4アプリは単独で使用可能だが、Safe Workplace Dashboardを使って横断的にまとめて可視化することもできる。また、Safe Workplace Dashboardでは、感染率に関する公開データを記したマップと重ね合わせて表示することで、企業は感染が地理的にどのように広がっているかを確認し、特定の職場地点が該当していないかを調べることができる。それぞれの地点には、従業員と職場の準備状況にもとづき、職場を再開できるのか、閉鎖すべきかを示す指標が表示される。

 Safe Workplaceは、ServiceNowのアプリストア「ServiceNow Store」で6月9日から入手可能。4つのアプリはパッケージとして有償で提供されるが、Safe Workplace Dashboardはパッケージを購入した顧客に無償で提供する。同ダッシュボードは現在、英語での提供となるが、日本語化を予定しているという。その他のSafe Workplaceアプリは日本語で提供される。

 企業は、在宅勤務にある従業員を職場に戻すにしても、ただ単に戻すのではなく、「従業員の感情を聞いたり、シフトを組んだり、職場を清掃したり、ソーシャルディスタンスを確保するためにレイアウト変更をしたり、といったことをすると思われる」とServiceNow Japan執行役員社長の村瀬将思氏は述べ、Safe Workplaceの目的が「それらの企業がニューノーマルに移行するための支援をする」ことにあると説明した。

 新型コロナウイルス拡大に関連した他の取り組みとして、ServiceNow Japanは4月、「危機管理支援アプリ」日本版を発表している。この中には、従業員の所在や安全を自動で一元的に可視化する「Emergency Outreach」、隔離されている従業員が自ら健康状態を報告する「Emergency Self Report」、勤務地と会議履歴に基づいて特定の従業員と接触した社内外の人物を確認できる「Emergency Exposure Management」が含まれている。危機管理支援アプリは、現在までに全世界で約6000回インストールされているという。

 広島県は、Now Platformを活用し、新型コロナウイルス対策の一環として体調管理アプリと行動記録アプリのベータ版を構築。5月1日より県職員向けに運用を開始したことを発表している。体調管理アプリは、職員自身がチャットボットを利用して体温や症状の有無を登録する。行動記録アプリは、感染者が発生した場合に接触者を早期に特定するために行動を記録し、職員が参加した打ち合わせなどの同席者、3密状況、時間、場所などを登録するようになっている。

 ロサンゼルス市は、Now Platformの利用により、新型コロナウイルス検査をドライブスルー方式で実施することを可能にしている。パートナーがポータルを48時間で構築したことで、市民400万人は自らの症状を調べて確認し、検査の予約を取り、ドライブスルー検査場を選択できるようになっている。当初の2週間半で150万人がサイトを訪問し5万人の検査が実施されたという。

 アフラック生命保険(東京都新宿区、社員数5113人)は、出社率管理システムを1週間で構築している。同社は2月よりテレワークを基本的に実施しているが、同システムによって出社している従業員数をリアルタイムで把握できるようにしている。従業員が社屋に入るために入館証をスワイプすると、ServiceNowのダッシュボード上で全社や各事業所別の出社率が把握できる仕組みになっていると村瀬氏は付け加えた。

アフラック生命保険の事例

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