Microsoftが、「Visual Studio Code」(VS Code)の新バージョンをリリースしている。MicrosoftのテクニカルフェローErich Gamma氏が2015年に発表したVS Codeは、非常に高い人気を得ているオープンソースのコードエディターで、現在はLinux、macOS、Windowsで利用できる。
VS Codeの「May 2020アップデート」(バージョン1.46)には、GitHubとの統合機能の充実、レイアウトの柔軟性の向上、エディタータブのピン留め機能、リモート開発機能関連のアップデートなどが盛り込まれ、インサイダー向けビルドには、ARM64のサポートが追加された。
VS Codeはもともと「JavaScript」や「TypeScript」を使用しているウェブ開発者をターゲットとしていたが、今ではVisual Studioマーケットプレースで2万種類近くの拡張機能が入手可能になっており、「Java」、機械学習に使われる言語「Python」、Googleのシステムプログラミング言語「Go」などにも対応できるようになっている。
米国時間6月9日にはGo向けの拡張機能の管理がMicrosoftからGoogleのGoチームに委譲されたが、Microsoftによれば、現在では1100万人の開発者がVS Codeを使用しており(今や世界でもっともよく使われているコードエディターかもしれない)、Go開発者の40%以上がVS Codeを使用しているという。
6月にリリースされたバージョンは、過去に進められてきたVS Codeのレイアウトを柔軟に変更できるようにするための作業をベースにしており、ヘッダーやグループをドラッグすることで、ビューの場所をサイドバーとパネルの間で切り替えられるようになった。
タブのピン留め機能を利用すると、ピン留めされたタブはそれ以外のタブよりも前に表示されるようになる。また、ピン留めされたタブは、多くのタブを開いてもビューからスクロールアウトしてしまうことがなくなる。
さらに、ピン留めされたタブは「その他を閉じる」コマンドを実行しても閉じず、開けるエディターの数の上限に達しても閉じることはない。
今回のVS Codeのアップデートには、「TypeScript 3.9.4」が含まれている。
また、ブラウザー版のVS Codeで統合ターミナルを開いている際に利用できる便利なコマンドのオプションのサポートが拡大されている。
Microsoftは、5月に開催した開発者向けカンファレンス「Build」に先駆けて、「Visual Studio Online」をリブランディングした製品である「Visual Studio Codespaces」を発表した。この製品は、開発者がAzureから調達したコンピューティング能力を利用して、ブラウザーでコーディングすることを可能にするものだ。同社はまた、VS Codespacesの考え方を取り入れた「GitHub Codespaces」も発表している。
これにより、Codespacesでブラウザー版のVS CodeをGit用のエディターとして利用することができるようになっている。
さらに、VS Codeのファイルエクスプローラーにファイルをドロップする機能も改善され、すべての下位フォルダやファイルを含めて操作できるようになった。
Microsoftは、オンラインで開催された2020年の「Build」で行われた、VS Codeの開発者Erich Gamma氏のインタビューの動画を投稿している。Gamma氏は、Microsoftのテクニカルフェローであり、2011年にIBMから移籍したときから、現在のVS Codeにつながる製品に取り組んでいる。