熊本県とドロップボックスが包括連携協定--IT活用で企業誘致を加速

大場みのり (編集部)

2020-06-22 14:00

 熊本県とDropbox Japanは6月19日、IT活用による地域社会の発展に向けて、包括連携協定を締結した。締結式とそれに伴う記者会見は、Dropbox Japanのオフィスと熊本県庁をオンラインでつないで開催した。

熊本県知事の蒲島郁夫氏(左)とDropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏(右)。締結時の署名は、電子署名サービス「HelloSign」で行った
熊本県知事の蒲島郁夫氏(左)とDropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏(右)。締結時の署名は、電子署名サービス「HelloSign」で行った

 熊本県知事の蒲島郁夫氏は「新型コロナウイルスが世界中に影響を与える中、国内でもテレワークなど新しい働き方が求められている。また社会経済システムが大きな変革期を迎え、企業ではサプライチェーンの見直しや本社機能の分散化が検討される中、われわれが行っている企業誘致でも新たな取り組みが必要となっている。今回の協定に基づく取り組みでは、Dropboxの技術や知見を生かし、企業誘致活動における業務効率化などを進めていきたい」と語った。

 Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏は「これまで『働き方改革』という言葉のもと、さまざまな取り組みが行われてきた。だが、新型コロナにより働き方改革の位置づけは大きく変化し、事業継続のための環境整備となったのではないかと考えている。さらにこの数カ月間、われわれもテレワークをする中で『オンラインでもできることは多い』と実感し、新しい視点での事業の可能性が広がってきたと感じている。今回熊本県とスクラムを組み、逆境をチャンスに変える取り組みを一緒に推進させてもらえることを喜ばしく思う」と述べた。

 Dropbox Japanの担当者は、働き方改革について「これまでは柔軟な働き方に向けた『できたらうれしい』取り組みだったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、個人や組織、地域を守るための『やらねばならない』取り組みへと変化した」と説明。そしてDropboxが展開する法人向けのオンラインストレージサービス「Dropbox Business」は、「場所に関係なく利用できる」「安心・安全」「簡単操作」が特徴だとしている。

 加えて会見では、オンラインドキュメントツール「Dropbox Paper」を紹介。共同作業をする際、メールでのやりとりだと「メール量が多くて状況を把握できない」「最新ファイルが行方不明」「送信後の内容訂正ができない」といった課題があるという。一方、Dropbox Paperでは1カ所に情報や資料を集約し、皆でページを更新しながら利用する。実際、この協定に関するやりとりにも同ツールを利用し、円滑に進めることができたそうだ。

 また、Dropboxが提供するサービスのUI(ユーザーインターフェース)は「Dropbox Spaces」といい、同UIではユーザーが慣れ親しんでいるフォルダー操作を継承しながら、クラウド時代の共同作業を円滑化する。今回の協定のもと熊本県は、Dropbox BusinessやDropbox Paperを利用して、企業誘致などに取り組んでいく。

(出典:Dropbox Japan)
(出典:Dropbox Japan)

 熊本県 企業立地課 課長補佐の松岡満男氏は「企業立地課の職員は企業訪問などの外出が多く、出先や移動時間でも効率的に業務を処理できるよう、グループウェアやタブレットなどを利用してきた。その延長線上として、東京事務所や大阪事務所と一層連携して企業誘致を行うため、2020年度からDropboxのサービスを導入することに決めた。そして導入に当たりDropbox Japanと打ち合わせを重ねる中、双方が連携して新しい取り組みができないかという話になり、今回の協定締結に至った」と説明した。

 企業誘致では、立地環境や補助金制度などが競合する自治体と戦わなければいけないという。そのためDropboxが提供する各種機能を利用し、外出先の職員を含めて企業立地課・東京事務所・大阪事務所で効率的な情報共有や素早い対応をすることで、効果的な誘致活動につなげていくとしている。

(出典:熊本県)
(出典:熊本県)

 最後に松岡氏は「将来的には行政の中だけでなく、県内のIT関連企業やコワーキングスペースともネットワークを構築することで、行政と企業、企業と企業のコラボレーションを生み出し、地域における課題の解決やイノベーションを推進できるのではないかと考えている」と語っていた。

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