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上司へプレゼン:SNSマーケティングの成果の捉え方

第5回:「バズらせて」と言われたら?--SNSの運用目的に立ち返ろう

北村類希 (コムニコ)

2020-07-03 07:00

 前回はKGI(重要目標達成指標)・KPI(重要業績評価指標)を達成するための運用として、広告やキャンペーンについて解説しました。今回は「SNSでバズらせて!」という上司への対応に悩んでいる方に向けて解決のヒントを紹介します。上司へのプレゼンに役立てていただければ幸いです。

「バズらせて!」と言われたら・・・

 上司から「SNSでバズらせて」と言われたらどうしますか? 上司に言われていなくても、公式アカウントの運用担当者として、一度は「バズる」ことに憧れたことがあるという方もいるかもしれません。

 しかし、SNSアカウントの運用において「バズる」という状態は、結果であって目的ではありません。バズることを狙って投稿コンテンツを考えると、発信する内容がぶれてしまったり、炎上リスクが高まったりと、迷走してしまう恐れがあります。

バズると炎上はどう違う?

 「バズる」は、英語の「buzz」という単語から来ています。動詞で「蜂がブンブンと飛ぶ音をたてる」こと、名詞ではその音に加えて「(人の)ざわめく声」「うわさ」などの意味を持ちます。そこから、人々の間で話題になることや口コミで広がっていくという意味でも使われるようになりました。

 SNS、特にTwitterにおいて「バズる」状態は、一つのツイートがたくさんの人にリツイート(RT)、いいね、リプライ(返信)されて、フォロワー以外の人にもツイートが拡散されることを指しています。ツイートがバズると、場合によってはテレビなどのマスメディアでも紹介されることがあり、多くの人に認知され、商品購入や新たなファン獲得につながることもあります。

 一方で「バズ」と区別しておきたいのが「炎上」です。炎上とは、「特定の対象に対して、批判が集中して収まりがつかない状態」を指します。炎上には段階があり、段階が進むにつれ鎮火が難しくなります。マスメディアなどに取り上げられ世間一般に認知される状態まで進むと、時に会社に苦情の電話やメールが殺到したり、不買運動などによる売り上げの低下など、会社に不利益をもたらす可能性があります。またブランドイメージの低下につながることにもなりかねません。

 「バズ」と「炎上」についてはっきり線引きするのは難しいですが、バズは対象となる情報に対して好意的な意見や感情(賛同、共感、面白い、楽しいなど)を向けている人が多い状態です。

 しかし、最初は好意的だったものが、フォロワー以外に拡散するにつれて、意見が分かれて批判的なコメントが付くこともあります。これは一概に炎上とはなりませんが、事実確認を行った上で適切な対応を行いましょう。

 Twitterはリツイート(RT)によって、フォロワー以外にもツイートが拡散される仕組みがあるため、バズが発生しやすいですが、InstagramはTwitterのように他の人の投稿を拡散できる機能はありません。しかし、Instagramを起点として他のSNSでバズが起こることがあります。

そのバズに本質的な意味はあるのか?

 投稿がバズって話題化してもそれは永続的なものではなく、一時的であることがほとんどです。過去の事例をみても実際に話題になっているのは数日程度で、その後は話題が沈静化していく傾向があります。

 特にSNS時代の話題の移り変わりは早く、次々と新しい情報が溢れています。ネットワークやデバイスの普及により、一人当たりが接触する情報量は飛躍的に増加していますが、処理できる情報量には限界があるので、情報の取捨選択を無意識に行っています。バズをきっかけにフォローされても、その後のコミュニケーションが企業からの一方的な情報発信だったり、ユーザーが喜ぶコンテンツや投稿でなかったりすれば、興味を失ってフォローが解除されたり、情報を見ても関心を持たずにスルーされてしまったりします。

 SNSの運用では、目的を達成するためにどういった情報をどのタイミングで発信すれば、ユーザーの興味・関心に沿えるかを念頭において投稿コンテンツを考えていきましょう。ユーザーから良好な反応を得るには、季節、時間、新製品のリリース、イベントの開催などのスケジュールを踏まえて、「タイムリーであるか」「共感できるか」「役に立つか」といった視点で投稿内容を考えていくと良いでしょう。まずは、フォロワーとのエンゲージメントを高めることを目指しましょう。

継続的なコミュニケーションの効果

 コムニコでは、SNSアカウントの運用支援を提供している企業には一時的なバズプロモーションを狙うのではなく、継続的なコミュニケーションを通してフォロワーの商品やサービスに対する利用意向・推奨意向を高めていくことをおすすめしています。実際に、高知県観光のSNSマーケティングでは、2019年7月からの約半年間にわたりフォロワーとのエンゲージメントを地道に高めていくことで、高知県への観光意向を高められたことが調査結果から明らかになりました。

Q:あなたが高知観光を検討した(する)際、影響を受けた(る)情報源は何ですか?当てはまるものを全てお選びください。

 フォロワーと非フォロワーを比較すると、高知県の情報を得る媒体としてSNSの評価に差が見られました。フォロワーでは、実に60%以上の人が高知県観光の公式SNSアカウントによる投稿やキャンペーンの情報に影響を受けていることが分かったのです。

 さらに、実際に口コミを行った回数を調査したところ、フォロワーは非フォロワーと比較して、対面・個別では平均2.1倍、SNS上(公開投稿上)では平均3.4倍のポジティブな口コミを発信していることが分かりました。公式アカウントの運用で関係性を築くことで、フォロワーからの自発的な情報発信(口コミ)を誘発できることもうかがえます。

・調査の詳細はこちら:https://blog.comnico.jp/we-love-social/kochi-survey

 今回は「バズらせて」という上司への対応として、バズの意味やその効果などについて解説しました。一時的なバズプロモーションが売り上げにつながることはありますが、多くが数日で忘れられてしまいます。企業のSNSマーケティングは、継続的なコミュニケーションを通してフォロワーの利用意向・推奨意向を高めていくことが重要であり、本質的な企業の資産となるのではないでしょうか。

 さて、いよいよ次回でこの連載は最終回となります。次回はSNS運用が顧客育成にどれくらい貢献しているのかを紹介していきます。

北村類希
コムニコ カスタマーサクセス局 コンサルティングチーム マネージャー
企業のSNSマーケティングをサポートするコムニコにて、コンサルタントとして、大手銀行、飲料メーカー、保険会社、行政関連など、幅広い業種・業態のSNSアカウント運用、広告運用・レポーティングなどに携わる。2018年6月からSNSエキスパート協会の認定講師として、SNSに関する正しい知識の普及やSNSマーケティング人材の育成に取り組む。

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