新たな要件は「ワークフローの柔軟な設計」
Adobe Signを採用したポイントについて磯部氏は、「Adobeがグローバルに認知されている企業であるということ。我々が他のグローバルプレーヤーと一緒に仕事をする時に、どの電子署名から相手に署名を求めるか。Adobeとそれ以外だと、グローバルスタンダードの違いが発生してしまう」と、グローバル展開への対応性を挙げる。
2020年は契約が終了する時期でもあったが、ジーニーではこれまでの運用における効果に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって実施した事業継続計画(BCP)の見直しに伴う全社的なテレワーク体制の構築で、電子署名の全社展開を決定。その結果、従来の海外での業務提携への活用に加え、資本業務提携や株主間契約、株式投資契約、秘密保持契約(NDA)、雇用契約の一部など、国内外の「契約という、ほとんどの契約」(磯部氏)での活用を開始したという。国内導入における従来とは異なる要件も追加したが、再検討とコロナ禍におけるテスト運用の結果、引き続きAdobe Signの活用を決定している。
「Adobe Signは、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が充実していて、トレーニングをしなくても誰でもすぐに使える。また、国内の業務で活用するにあたって重要視したのが、ワークフローを柔軟に設計できる部分。四半期や半年に1度発生する可能性がある組織変更の際、ワークフロー設計の変更に耐えられるかというところが、他社の製品は難しかった」(磯部氏)

※クリックすると拡大画像が見られます

※クリックすると拡大画像が見られます
電子署名と基幹業務システムとの連携も
ジーニーは今年10周年を迎え、従来のアドテクにとどまらないマーケティングテクノロジー(マーテク)領域のサービスを強化している。「顧客から依頼を受けたら、広告だけでなくデジタルマーケティングの仕組みまでを一気通貫で作り上げる体制を提供できるスタイルにサービス展開をシフトしている」と磯部氏は語る。また、機能やサービス拡大に合わせてばらばらになった組織を一つに戻すという目標もあるという。「その中でコーポレート機能である電子署名やワークフローを統合していく」(磯部氏)と語る。
磯部氏はAdobe Signについて、「コロナ禍でもAdobe Signを入れていたおかげで署名に伴う出社対応問題を抱えずに済んだ。我々にとってはなくてはならないものになっている」と高く評価。業務のほか、中小企業向けの顧客情報管理(CRM)や営業支援(SFA)のツールである「ちきゅう」の販売促進などを通し、活用を促進させるという。導入当時、年間総数2桁ほどの海外企業との紙による契約の置き換えから開始した活用は、国内外合わせて1000~1500ほどの活用数に伸びる見込みだ。また、全社展開によるほかの基幹業務ソフトとのよりシームレスな連携も図っていくという。
そのなかでアドビに対しては、「他社の活用事例やケーススタディを学びたい」(磯部氏)としている。