Zoomと連携で“ニューノーマル”に対応へ--ジェネシス、自社の取り組みを発表

大場みのり (編集部)

2020-06-24 18:29

 ジェネシス・ジャパンは6月23日、新型コロナウイルス感染症への対応を含めた自社の動向や、コンタクトセンター向けのクラウドサービス「Genesys Cloud」とZoomの連携などについて、説明会を開催した。

 ジェネシス・ジャパン 代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー氏は、2020年上期の業績について「前年同期比で3桁成長を記録している。特にクラウドビジネスが好調で、金融・運輸・製薬・BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)・自動車と、さまざまな業界の企業にご契約いただいている。業界に関係なく、CX(顧客体験)に注力している企業がわれわれのサービスを選んでいる印象だ。中でも4~6月の第2四半期は、新型コロナウイルスの感染が拡大していたこともあり、第1四半期と比べて倍以上の成長を見せている」と語った。

 この成長の裏には、2019年に打ち立てた基本戦略があるという。この戦略では、まず市場へのクラウド提供を加速し、顧客企業にその魅力を訴求する。また、製品開発はクラウドベースで行い、新機能もクラウドで提供する。そしてオンプレミスの既存顧客も引き続きサポートし、将来的にはクラウドへの移行を支援する、というものだ。

 「ウィズコロナ」と言われる現在の社会では、3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)を防ぐため、コンタクトセンター業務を在宅で行えるようにするとともに、在宅勤務でもこれまでの対応品質を担保することを支援していく。Genesysは感染状況が深刻化した4月、短期間で在宅でのカスタマーサービス環境を立ち上げ、「Genesys Cloud」を60日間無料で利用できるようにする「Rapid Response」を提供した(オンプレミス版の既存顧客は90日間)。日本ではNPO法人の新型コロナウイルス感染症に関する相談センターに対し、設定や研修など全ての段階をリモートで行い、申し込みから7営業日で立ち上げたという。

 現在は、市場の状況を把握した上で今後のCXに対応する「Ready Response」を提供している。無償提供期間は30日だが、音声だけでなくデジタルチャネルも提供している。

(出典:ジェネシス・ジャパン)
(出典:ジェネシス・ジャパン)

 そしてGenesysは5月20日、Zoom Video Communicationsと提携し、Genesys Cloudと「Zoomミーティング」、日本でも展開予定の「Zoom Phone」の統合サービスを提供すると発表した。両サービスと連携するのは、Genesys が初めてだという。ジェネシス・ジャパンの伊藤氏は「Zoom Phoneを導入すると、固定電話が必要なくなる。こうした利便性の高いサービスと連携することで、今後の“ニューノーマル”に対応できるのではないかと考えている」と述べた。

 今回の連携によりGenesys Cloudの顧客は、在宅勤務時を含めコンタクトセンターのオペレーターとオフィスの従業員のやりとりに両サービスを利用することができる。Zoomミーティングは「ウェブを参照しながら相談したい」「お互いに顔を見ながら深いコミュニケーションを取りたい」という際に利用。一方、Zoom Phoneは「やりとりができればいい」「社用のスマートフォンを支給する予定はないが、オフィスの固定電話を撤廃したい」といった場合に使うという。

 両サービスは、Genesys Cloudの画面から利用することができる。月額利用料はZoomミーティングが無料、Zoom Phoneは1席当たり600円から。まずはクラウド基盤で連携し、将来的にはオンプレミス基盤でも連携していくことを検討しているそうだ。

Zoomミーティングの利用イメージ(出典:ジェネシス・ジャパン)
Zoomミーティングの利用イメージ(出典:ジェネシス・ジャパン)
Zoom Phoneの利用イメージ(出典:ジェネシス・ジャパン)
Zoom Phoneの利用イメージ(出典:ジェネシス・ジャパン)

 両サービスはまず社内でのやりとりに用いられるが、「ビデオコンタクトセンター」といった形で、消費者とのコミュニケーションにも利用される予定だという。Zoom Video Communicationsの日本法人ZVC Japanのカントリーゼネラルマネージャーを務める佐賀文宣氏は「今後、新型コロナが収束したとしても非接触型のコミュニケーションは止まることなく、“非接触型も可能な状態”に移行していくと思う。そして音声だけでなくビデオでやりとりをすることで、消費者はその企業をより身近に感じ、企業は消費者とのつながりを強めてロイヤルカスタマーを増やすことができるのではないかと考えている」と話した。

 最後に伊藤氏は「多くの企業に対し、われわれが取り組んでいる“真のパーソナライゼーション”を実現できるよう、パートナー企業と連携して事業を展開していく。これにより、今まで以上に日本のおもてなしの文化を発展させることができるのではないかと考えている。上半期が終わるところに来たが、“ウィズコロナ”や“アフターコロナ”と言われる中、下期に向けていろんな策を打っていきたい」と語っていた。

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