OKIは自社の水中音響センシング技術を活用し、密漁船や水中の不審なダイバーを監視して検知する「密漁監視ソリューション」を開発した。6月24日に販売を開始し、北海道の増毛郡増毛町・古宇郡泊村・岩内郡岩内町において、同ソリューションによる密漁監視の運用を順次開始する。
密漁監視ソリューションでは、水中音響センサーが水中の音を集めてクラウドサーバーへ送信。そしてクラウドサーバーで水中の音を分析し、不審な音を検知すると登録通知先へメールを送信。通知先は任意で設定でき、関係機関との情報共有や連携も可能だという。
密漁監視ソリューションの概要(出典:OKI)
OKIは、総務省「平成30年度IoTサービス創出支援事業」を矢口港湾建設、増毛町と受託し、水中音響センシング技術を用いて密漁船と水中の不審ダイバーの両方を監視する密漁監視ソリューションの実用化に向けた検証を行ってきた。
実用化検証は2018年度にスタートし、2019年には増毛町で水中音響センシング部の耐雑音性を高め、水中音検出性能を改善する追加実験を行った。その結果、水中音響センシング技術を使った密漁監視ソリューションの実用化に成功し、販売開始に至った。
従来、アワビやナマコなど高級食材の密漁に対しては、監視カメラ・レーダーなどによる監視や、人手によるパトロールなどが行われてきたが、いずれも人件費や装置コストの負担が大きいことに加え、夜間に無灯火船・水中のダイバーの両方を監視して不審者を発見するのは難しいという課題があった。
OKIの水中音響センシング技術は、自ら音を発信することなく海中音を受信する水中音響センサーを使用しており、水中を伝わってくるさまざまな音の中から、船のエンジンやスクリュー音、ダイバーの呼吸音などをリアルタイムに検出することができる。このため、昼夜を問わず、不審船の侵入、さらにはこれまで発見が難しかった不審なダイバーの接近を、水中の音からいち早く検知して通知することが可能になったという。
同ソリューションの価格は個別見積で、今後3年間で5億円の売り上げを目指している。