横浜銀行は、FRONTEO、NTTデータフォース、インテックと共同で、CRM(顧客関係管理)システムに人工知能(AI)を活用した「営業応接記録チェック」機能を開発した。
この機能は金融商品販売時などの営業応接記録をAIによって一次チェックするもので、CRMシステムで稼動する。横浜銀行は2020年度上期中に同機能の運用を開始し、営業担当者が営業応接記録を作成する時間や、その記録を役職者がチェックする時間を5割削減して業務を効率化する予定だ。
今回開発した機能は、横浜銀行が導入しているインテックのCRMシステム「F3(エフキューブ)」に、FRONTEOの自然言語処理AIエンジン「KIBIT(キビット)」をAPIで連携し、AIによる記録内容の一次チェックを可能にするもの。
KIBITはFRONTEOが開発した自然言語解析AI(人工知能)エンジンで、過去の例や経験者の勘・感覚といった「暗黙知」をもとに選んだ文書を「教師データ」として与え、文書の特徴を学習させることで、その判断軸に沿って見つけたい文書を抽出する。今回開発した機能では、「Microsoft Azure」に構築されており、NTTデータフォースがAI分析サーバの管理を行っている。
営業応接記録チェック機能の概要(出典:報道資料)
これまで営業応接記録の作成業務では、営業担当者は顧客属性や取引内容を考慮しながら記録をしなければならなかったため、膨大な工数がかかっていた。また、営業応接記録の表現にバラつきがあり、特に注意すべき営業応接記録が分かりにくいなどの課題があった。
今回開発した機能は、文章による記録(非構造化データ)が主体だった営業応接データを項目ごとに分けて構造化できるようにした。またCRMに存在する情報・営業担当者が設定する情報(顧客の属性・取引内容・同席者の有無・その他適合性確認に必要な各種情報)により、文章による記録が必要な項目が細分化されて表示されるようにした。入力エリアが記録項目単位で整理されるため、営業担当者の営業応接記録の作成負荷の軽減につながるほか、役職者は注意すべき記録項目を容易に把握することが可能となる。
また営業応接記録の各項目に記録された文章をKIBITが観点ごとにスコア付けし、各項目には、KIBITで付与されたスコア値に応じたメッセージ(KIBITによる評価)が表示される。これにより役職者のチェック負荷の軽減・工数の削減、知識・経験の差によるチェック品質のばらつきの抑制(標準化)につながる。
今後、今回の開発に携わった4社は、AIを活用した営業応接記録のチェック機能をさらに高めていく。また横浜銀行は、業務効率化により創出された時間を、アフターフォローなどの顧客満足度の向上に貢献するコミュニケーション強化につなげていく。