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第一生命のクラウド基盤「ホームクラウド」が完成、MSのFgCFを採用

阿久津良和

2020-07-01 06:00

 日本マイクロソフトは6月30日、第一生命保険が「FgCF(Financial-grade Cloud Fundamentals)」をベースにしたクラウド基盤「ホームクラウド」をMicrosoft Azureで構築、稼働させたことを発表した。

 FgCFは、各種リファレンスアーキテクチャーとフレームワークを示した技術資料として、2019年11月に発表された。同日オンラインで行われた説明会で日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 金融サービス営業統括本部長 業務執行役員の綱田和功氏は、「単純にサーバー環境をクラウド化するではなく、クライアントを含めた『ゼロトラストセキュリティ』環境を作るための基盤になる。リモートの開発環境の基盤にも使える状態にあり、設計や検討が(幾つかの金融機関)で行われた」とした。なおFgCFは、さらなるコンテンツの拡充を経て、「Azure Baseで近日中に公開される予定だ。

「FgCF(Financial-grade Cloud Fundamentals)」の概要
「FgCF(Financial-grade Cloud Fundamentals)」の概要

 第一生命は、2019年第1四半期から日本マイクロソフトとホームクラウドの構築プロジェクトに取り組み、2019年10月時点でオンプレミスの.NETアプリケーションをMicrosoft AzureでPasS化するなど、基幹系システムのデジタル化を進めていた。

 他方で金融庁は、金融機関の基幹系システムのデジタル化を支援する「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」を2020年3月26日に公表し、金融機関からの申し込みを受け付けている。説明会が開かれた6月30日、第一生命のホームクラウドが支援決定案件への採用が決定された。第一生命 ITビジネスプロセス企画部 フェローの太田俊規氏は、「金融庁の支援を直接仰ぐことで、セキュアで法令を順守したシステムを開発できる」と述べ、自社の利点と「Microsoft Azureを通じて先進的なサービスやコンテンツを持つ企業と連携し、お客さまに多様なサービスを素早く提供できる」(太田氏)と顧客側の利点を説明した。

第一生命ホールディングス ITビジネスプロセス企画ユニット 兼 第一生命保険 ITビジネスプロセス企画部 フェローの太田俊規氏
第一生命ホールディングス ITビジネスプロセス企画ユニット 兼 第一生命保険 ITビジネスプロセス企画部 フェローの太田俊規氏

 ホームクラウドは、2019年度内に運用機能の構築やアプリケーション共通機能の開発を終えており、現在は7つの自社運用アプリケーションをMicrosoft Azureに移行させた。2020年度中は第1次統合認証基盤に取り組みつつ、2021年度は第2次統合認証基盤の整備やBCP(事業継続計画)対応を図る。

 ホームクラウドは、業務機能層とは別にデータ分析層を持つ。その理由は「データのサイロ化など、活用を阻害する状況を避けるためホームグラウンドを決めて処理結果をMicrosoft Azure(のデータレイク)に戻す」(太田氏)とのことだ。太田氏は、第一生命のグループ企業も利用する主旨も語った。

 なお、金融庁と第一生命の間で整理したモニタリング上のITガバナンスやリスク管理などに関する情報は、金融庁のウェブサイトで公表される予定で、「同様の課題を抱える金融機関の支援にもつながる」(太田氏)と、金融業界全体のデジタル化推進を加速させる可能性を示した。

ホームクラウドの構成要素
ホームクラウドの構成要素

 日本マイクロソフトが国内72の金融機関に対して、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言発令下で聞き取り調査を行ったという。綱田氏は、「リモートワーク環境の整備でMicrosoft Teamsの利用が増加しているものの、一般利用者のような増加傾向ではない。ただ、既に半数以上の金融機関で導入や利用が始まっている」と、金融業界のデジタル化が遅れている状況をつまびらかにした。

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏
日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏

 調査結果を見ると、労働環境は「交代出社/輪番出社(45%)」「ほぼ在宅(31%)」「在宅勤務だが実質は休業状態(9%)」という状況だ。課題についても「課題はあるが在宅勤務は可能(53%)」「リモート環境の整備(29%)」「課題がないもしくは日本マイクロソフトがキャッチできていない(18%)」だった。綱田氏は、「新型コロナウイルス以前からリモートワークに取り組んでいた企業では課題が少なく、新型コロナウイルスでの自粛を一時的な出来事として捉えている企業が散見される」と私見を述べた。

 調査結果を深掘りすると、以下のような意見が並ぶ。

  • 「リモートワーク環境が未整備のままコロナ禍を迎えたため、実質的に在宅社員は休業状態になってしまった」
  • 「開発環境を急きょリモート化できずに、開発業務が実質的にストップしている」
  • 「ペーパーレス未推進で出社せざるを得ない」
  • 「コールセンター業務など出社を要する業務(環境)がある」
  • 「VDI(仮想デスクトップ基盤)やDaaS(Desktop as a Service)環境を急きょ整備したものの、対応可能なネットワーク容量がひっ迫するなど業務に支障が生じている」
  • 「納期に3カ月以上かかるためリモートワーク用のPCを調達できない」

 ある保険会社は、非対面営業が犯罪収益移転防止法を考慮する必要からリモートワークを推進できず、開発規模を3分の1に縮小して輪番出社を行っているケースもあったという。日本マイクロソフトの綱田氏は、金融機関が各課題に対応するソリューションを保持していると述べ、依頼や相談件数が増加していると説明。「(前述した)課題を解決するプロジェクトが各金融機関で走っている」と語った。

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