定期券代支給を廃止、自転車通勤を推奨--オフィス面積半減させる富士通の本気

阿久津良和

2020-07-07 06:45

 富士通は7月6日、“ニューノーマル(新常態)”時代を踏まえた新しい働き方として「Work Life Shift」を推進することを発表した。執行役員常務 総務・人事本部長 平松浩樹氏は「コスト削減ではなく、新しい働き方を実現するための投資」として通勤定期券代の支給廃止やオフィス面積の半減について説明した。

 同社は2017年4月からテレワーク勤務制度、2020年4月から同社国内グループの幹部社員約1万5000人を対象に、職責に応じた報酬設定と柔軟な人材配置を実現するジョブ型人事制度を導入している。今回発表したWork Life Shiftは「Smart Working」「Borderless Office」「Culture Change」の3要素で構成され、社員の働き方や価値観、オフィスのあり方などを見直す取り組み。

富士通 執行役員常務 総務・人事本部長 平松浩樹氏
富士通 執行役員常務 総務・人事本部長 平松浩樹氏

 国内グループ従業員約8万人を抱える富士通は、固定的な場所や時間にとらわれない働き方、社員の高い自律性と信頼を基にウェルビーイング(幸福・健康)の実現を目指すものとしてWork Life Shiftを進める。

 最適な働き方の実現を目指すSmart Workingは、約8万人に及ぶ同社国内グループ従業員の勤務形態としてテレワークを基本とし、業務の内容や目的、ライフスタイルに応じて時間や場所を柔軟に選択できるという。

 具体的には、原則としてコアタイムのないスーパーフレックス勤務であり、ウェブベースのオンラインタイムレコーダーで出退勤を打刻する。単身赴任者がテレワークと出張で対応可能な場合は、随時自宅勤務に切り替える単身赴任の解消も7月21日から実施する。

 また、在宅勤務の環境整備費用補助を目的として月額5000円を支給するとともに、通勤定期券代の支給廃止に伴う自転車通勤を推奨する。2020年度中には全社員に対してスマートフォンの支給、もしくは私物端末の業務利用(BYOD)のいずれかを選択する仕組みを導入する予定。「4月から外部のウェブコンテンツを通信量や受講料を気にせずに自己研鑽(けんさん)に励める」(平松氏)仕組みも導入し、業務効率化や社員教育の利便性向上などに活用する。

 オフィスの存在を見直すBorderless Officeは、固定型オフィスに縛られてきた働き方の概念を変え、個々の業務内容に応じて主要拠点となる「Hub Office」「Satellite Office」「Home & Shared Office」から選択できる勤務形態を目指すもの。

 富士通は現在のオフィス面積を2022年度末までの「3年間でHub OfficeとSatellite Officeを合わせて50%程度に見直す」(平松氏)。また、フリーアドレス化も合わせて実施する予定だと説明した。

 Satellite Officeは主要オフィスに設置済みだが、その設置数を拡大。Home & Shared Officeもすでに契約済みのシェアードオフィス約180件をさらに拡充させることで、従業員の多様な働き方の実現を2021年9月までに目指す。同社は「ウェルビーイングを意識した。(オフィス空間の評価基準)WELL認証も視野に含めている」(平松氏)

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