Speee、Dropboxでファイル共有の状況を可視化--PC入れ替えにも活用

鍋島理人 (Innerstudio) 藤代格 (編集部)

2020-07-13 07:00

 Speee(港区、従業員数約350人)は、「解き尽くす。未来を引きよせる。」というミッションのもと、インターネット広告などを展開するマーケティングインテリジェンス、不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援など多様な事業を手掛けている。主軸となるアドテクノロジー事業に加えて、近年では、海外での人材事業やヘルスケア事業に進出するなど、著しい成長を遂げている企業だ。

ファイル共有のセキュリティ課題をDropboxで解決

 これまでSpeeeは自社のファイルを、オンプレミスのファイルサーバーと、他社のクラウドストレージで管理してきた。業務上、社外の顧客とさまざまなファイルを共有していたが、それらがどのような形で外部と共有されているか、可視化が難しいという問題を抱えていた。Speeeのシステム部 部長 田島裕二氏は「従来のファイル共有の仕組みでは、本来社内でのみ利用するファイルが共有可能な状態で放置された場合、発見と対処が難しくなる可能性があった」と語る。

Speee システム部 部長 田島裕二氏
Speee システム部 部長 田島裕二氏

 加えて、オンプレミスのファイルサーバーも年々使用量が増加し、バックアップに伴うコストを抑制する必要が生じていた。同社はこれらの問題を解決するために、2019年8月から、新たなクラウドストレージの導入を検討し始めた。

 検討にあたって重視したポイントは2点だ。すなわち、ファイルの共有先を容易に追跡できる管理性の高さ、そして、従来のクラウドストレージで利用していたアプリケーションとも連携できることだ。これらの条件を満たすクラウドストレージとして、「Dropbox Business」を採用したのは、2019年10月のことだった。

シャドーITを逆手に、セキュリティ強化と利便性維持を両立

 候補を絞り込む中で、Dropboxを選んだ決め手となったのは、意外な事実だった。社内を調査した結果、従業員の多くが、無料版のDropboxを既に利用していたことが判明した。ファイル機能だけでなく「Dropbox Paper」という情報共有ツールを目的に利用しているユーザーも多かった。このような企業が許可していないITを活用する“シャドーIT”の利用は、情報セキュリティの観点からは好ましい状況ではない。しかし、既にユーザーの多いDropboxを自社システムとして正式採用すれば、エンドユーザーの利便性を維持したまま、ガバナンスの効いた状態へスムーズに移行できる。

導入をスムーズにするための取り組み

 Dropboxの利用は、スモールスタートで始まった。これまで使っていたファイルの全面的な移行となると、移動に時間がかかるだけでなく、予期せぬトラブルが起こる可能性も高まるからだ。具体的には、以下の2つのルールだけ定め、緩やかな移行を促した。

  • 社外とのファイル共有にはDropboxを使うこと。従来のクラウドストレージによる社外共有は停止する。
  • 今後の社内ファイルは、オンプレミスのサーバーではなくDropboxで共有すること。
  •  導入にあたっては、総務、営業など非IT職向けに社内マニュアルを作成した。この社内マニュアル自体が、Dropbox Paperで制作されている。

     また、ビジネスチャット「Slack」上にDropboxの使い方を議論するチャンネルを作り、ユーザー同士で使い方についての情報共有を行った。その結果、ストレージとしての利用が進むだけでなく、Dropbox Paperの活用もさらに盛んになっていった。田島氏は「社内のヘビーユーザーが周囲を啓蒙したことも、Dropboxの利用が進んだ要因だ」と付け加えた。

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